|
ロコモティブシンドロームについて
動脈硬化性疾患を引き起こす危険因子が集積したメタボリックシンドロームは脳卒中あるいは心筋梗塞などのリスクが高いために現在の特定健診等を含めてよく知られている状態です。では、ロコモティブシンドローム(以下「ロコモ」)とは何でしょうか?2007年に日本整形外科学会が提唱した新しい概念です。運動器の障害によって介護が必要な状態や要介護リスクの高い状態を表す新しい概念です。運動器とは骨、関節、脊柱、筋肉、神経等を示します。健康へのアプローチとして身体の内側へ意識をしているのがメタボリックシンドロームとするならば、身体への外側へ意識をしているのがロコモティブシンドロームと言えます。身体の内側と外側の両者の歩調が合った時に始めて健康を掌中にできると思います。ロコモへのチェックはいろいろ考慮されていますが簡単に言えば足腰が弱ったと自覚した時が「ロコモ」の始まりです。なお、以下の1つでも該当すれば「ロコモ」といえます。
@片足立ちで靴下が履けない A家の中でつまずいたり滑ったりする B階段を昇るのに手すりがひつようである C横断歩道を青信号で渡りきれない D15分くらい続けて歩けない
このような症状は多くの高齢者には当てはまります。特に腰痛あるいは膝関節痛があればそれ自体でロコモになります。「ロコモ」は基本的には状態ですがそろえば病気になります。現在の75歳以上の高齢者においての寝たきり状態の原因としては脳血管障害が21%で最大ですが、運動器疾患は合わせると24%となり寝たきり予防には大切な状態となります。たかが運動器の疾患のようですが生活の質(QOL)を著しく障害する事は明らかであり、メタボ対策と同様にロコモ対策も大切な課題です。なお「ロコモ」においてはメタボリックシンドロームとの合併が高い、あるいは変形性膝関節症の人には認知症の比率が高い等の運動器疾患は他のいろいろな疾患との関連性についても最近は報告をされています。このために最近では「ロコモ」に対するトレーニングも研究されています。健常者が「ロコモ」にならないように行う体操はロコモン体操ともじっていますがこのロコモン体操は股関節の体操としてはスクワット、骨力トレーニングとしては片足立ち、四股、その他いすに腰掛けて膝関節周囲の筋肉を鍛えるトレーニングなどが含まれています。一方すでにロコモとなっている人がおこなうトレーニングはロコモーショントレーニングといわれますが立ち座り訓練、開眼片脚起立訓練などがあります。片足での立位は1分間行うと 53分程度の歩行に相当するようです。これらのトレーニングについては個々の人によって異なりどのメニューを組み合わせる事が効果的であるか等はまだ分かっていないようです。我々としては単なる関節の痛みとして放置するのではなく、痛み等に対してきっちりと対応を行い筋力低下が起こらないようにトレーニングを含めた対応を行うことが大切です。
山田医院 医師 山田 良宏 |