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終末期がん患者さんへの輸液治療について
風邪をひいたから点滴してほしい、しんどいから点滴をしてほしい、熱があるから点滴をしてほしい、、、、当院においてもこのような訴えで受診をされる方を多く見かけます。東京には点滴バーなる点滴を昼休み等に自費診療でしてくれるところも出来たようです。日本人は概して点滴が好きな人種であるといわれています。という私も二日酔いでしんどいからと以前はよく点滴を自分でしました。(今は漢方薬を服用していますが。)確かに脱水状態があるときには点滴の効果は期待できます。子供などは点滴の前後では見違えることもあります。この点滴の治療は在宅医療においても広がりつつあります。肺炎、腎盂腎炎などの感染症、老人の脱水症などについては在宅でも点滴を行う事があります。効果も確かにあり入院を考慮していた状況の方がすっかり良くなることも多々あります。在宅においての点滴は通常は医師が針を刺して点滴を施行、終了時には家族の方に針を抜いてもらっています。点滴をたんすに引っ掛けたり、電気のコードに結んだり病院とは異なったやり方で行うために当初はかなり躊躇しましたがいまではこれが普通になりつつあります。ではいわゆる終末期がん患者さんへの点滴等はどうなのでしょうか?病院で胸部あるいは頸部からの点滴を受けて帰宅、そのまま1日に1000から2000ml程度の高カロリーの点滴を亡くなるまで続けることが今までは一般的でした。最近は終末期がんの治療においての点滴の有効性についてはかなり疑問点も出てきました。終末期がんの治療はいわゆる「 緩和医療」となります。「根治治療」ががんの根治を目指すのに対して緩和医療はがんとうまく付き合いながらその人らしさをサポートしながら対処する治療です。点滴治療は一般的には対症療法に分類されており、脱水の補正、栄養補給、電解質補正などのプラスの面がありますが逆に針を刺されることの痛み、点滴の管につながれる苦痛、また水分を入れすぎることによる体に余分な水がたまる(胸水、腹水、体のむくみなど)等の問題点もあります。緩和医療の最終的な目標は脱水、低栄養、電解質の異常のコントロールなどではなく患者さんの苦痛をとり、人間らしさを保つことになります。この点から点滴の必要性についていろいろな議論が出てきました。最近は終末期がん患者さんにおいては高カロリーの輸液は予後の延長あるいは苦痛の緩和には貢献しない。点滴は口渇の改善に貢献せずにマウスケアのほうが有効である。終末期の脱水はしばしば不快ではない。逆に水分過多の方が苦痛になる。等の事実もあり、最近の考え方では在宅においての高カロリー輸液の適応は予測される生命予後が40から60日以上で全身状態がよい人に限られます。なお、高カロリーではない維持輸液に付いては個人差が強く一概には言えませんが1日に500から1000ml程度を行うことが多く、場合によっては点滴をしないこともあります。著明な脱水状態が原因で倦怠感が生じることもありその際には点滴を行い、逆に水分が取れていなくても倦怠感がなく状態が安定していれば点滴も不要な事もあります。一概に食べられないから点滴という事はしなくなりました。モルヒネなどの麻薬性鎮痛剤を含めて在宅医療においても医学の進歩(変化?)はあります。また在宅医療において問題点等がありましたら医師に相談ください。 山田医院 医師 山田 良宏 |
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