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鳥インフルエンザについて
4月末から5月にかけて秋田の十和田湖、北海道の野付半島でH5N1型の鳥インフルエンザに感染した白鳥がみつかり鳥インフルエンザも対岸の火事ではなくなりつつある感じを受けました。鳥に感染するインフルエンザウイルスは理論上は144種類あります。その中で人にも感染するインフルエンザが日本では新型インフルエンザと言われており、また今話題になっている「いわゆる」鳥インフルエンザのことを示しています。新型インフルエンザの可能性としてはH7N7などもありますが現在最も問題となっているのが致死率が高く症例も多いH5N1です。このH5N1はすでにインドネシアなどのアジア各国、アフリカ諸国、中東の家禽(家で飼う鳥)に感染が認められており世界的に広がってきています。このH5N1は2003年より拡散が始まり家禽の大量死は農家にとって経済的損失を生じたのみではなく400人近くの人の感染が起こり死亡率は60%にのぼりました。現時点においてはこのH5N1の感染は限局的ですが今後このウイルスが新型ウイルスへと変化して爆発的な流行を起こしてもおかしくない状況にきています。この病原性の強さから1918年のスペイン風邪と似たパンデミックを起こしうる可能性があり世界中の関心が集まっています。「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」によるとスペイン風邪の時は日本においてのインフルエンザの死亡者は人口の1から2%になります。大正8年2月3日の東京朝日新聞によると「東京府内の各病院は満床となり入院は皆お断り、医者も看護婦も総倒れ」と報じておりまた当時の新聞の下面は葬儀の黒枠広告で満たされていたようです。大正当時の医療状況なので今とは違うと感じる方も多いと思いますがH5N1の死亡率は60%と言われておりこの新聞記事はあながち過去のものである感じがしません。ホットな話題ではこのH5N1を15分で診断するキットが開発されたようです。このH5N1について簡単にまとめてみると@死亡率は60%。10歳代の死亡率が高く50歳以上だと死亡率は低下します。この点は数年前に流行したSARSとは逆です。ただし感染は90%以下が40歳以下です。A感染は鳥を直接扱う事で感染することが多く、短期旅行者の発症はないようです。潜伏期間は1週間以内で2から5日の事が多いようです。B症状はインフルエンザ様症状(熱、咳、関節痛など)+肺炎で下痢等の消化器症状を認めることもあります。通常のインフルエンザのような軽症例はないと言われています。C治療はシンメトリルあるいはタミフル、リレンザ。WHOでは治療にはタミフルを予防にはタミフルかリレンザを推奨しています。ただし、タミフルにおいても死亡率を改善しなかったと言う報告もあります。投与量は通常の2倍量を10日間投与と言われています。(通常は5日程度まで。3日程度の事も。)なお、耐性菌ができやすいのでシンメトリルとタミフルの併用なども勧められています。なお、予防対策としてはワクチンが有効な対策の1つとして考えられています。新型インフルエンザが出現してからのワクチン開発精算には少なくとも半年から1年かかると言われているために現在、新型インフルエンザとなる危険性が高いH5N1に対してあらかじめワクチンを生産しておくという考え方があり、このようなワクチンをプレパンデミックワクチンと呼んでいます。日本においてもH5N1に対して1000万人分のプレパンデミックワクチンを備蓄しており医療従事者等のハイリスクグループに投与をする計画があります。ワクチンや抗ウイルス剤はある程度は有効であると考えられていますが絶対的な切り札ではなく、公衆衛生上の対策も同時に行う必要があります。学校や職場の閉鎖や集会の制限、隔離、咳エチケット、さらには国境での感染者の流入阻止などが考えられています。この新型インフルエンザが流行すると相当の死亡者がでる事が予想されます。ただし人類滅亡等が起こるわけではなく1から2年後には香港型あるいはソ連型のように通常のヒトインフルエンザとして毎年のように小規模な流行を繰り返すようになります。できるだけの犠牲が少なくこのようになればよいのですが。 山田医院 医師 山田 良宏 |
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