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食と疾患について
近年は飽食の時代で日本においては飢餓の心配をしている人は少なく逆に肥満を心配してダイエットを行うほどですが数10年前までは食の確保の方が大切な事でした。人類は長い飢餓の時代を生き抜くために余剰エネルギーの蓄積に有利になるように進化してきたという倹約遺伝子仮説があります。生命活動維持に大切な血糖維持についても血糖を上げるホルモンはアドレナリン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、その他多数ありますが血糖を下げるホルモンはインスリンのみです。飢餓の時代に低血糖にならない様に生体が進化してきた印とも言われています。飽食の時代になり、この倹約遺伝子によりできるだけエネルギーの摂取を促進してエネルギーの消費を抑制しようとするようになります。この作用が裏目に出て肥満の問題が出てきていると思います。脳の視床下部は食欲制御の中枢ですが、1994年にレプチンという物質が発見されてから食欲制御の研究が進んできたようです。このレプチンは脂肪細胞から分泌されるサイトカインですが直接、視床下部に作用して強力に摂食を制御し、またエネルギー消費を亢進させる飽食因子です。「もう食べなくても良い」という強力な摂食抑制シグナルを伝達するといわれています。このために先天的にレプチンを欠損する肥満症や著しい体脂肪量の減少を示す脂肪萎縮症ではレプチンの血中濃度が低くなるために強い空腹感を感じます。このレプチンの血中濃度は体脂肪率が増えると同時に増えます。急激な激しいダイエットを行い急激に体脂肪量が減少するとレプチンは著しく減少するために強い空腹感を生じ過食行動になったり、また基礎代謝の低下ももたらすためにダイエット後のリバンドの一因になります。リバンドの過程に摂取したエネルギーの大部分は体脂肪量の増加に利用されるためにさらに基礎代謝が低下して以前よりも太りやすくなる可能性があります。このためにも減量後にリバンドをしないようにするためにはレプチン濃度が急激に低下しないように緩除なダイエットが推奨されます。ダイエットの早い段階では体重は比較的スムーズに減少しますが飢餓に対する適応反応が生じるためにこのペースは持続しません。ダイエットでは、一定期間は体重を維持して飢餓に対する適応反応を一旦減弱させて再度減量を試みることが大切です。なおダイエットに適度な運動を組み合わせて基礎代謝の低下を抑制する事も無理のない方法です。なお、最近は健康に関連する食の情報が巷にあふれています。お昼の番組等はその典型例で平成19年1月の「納豆売り切れ騒動」はその典型例です。この件は「よくかき混ぜた納豆を1日に2パック、朝と晩に食べると痩せる」というありえない事をあるかのごとく騙ったものでした。このように食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に信奉する事をフードファディズムといいます。このフードファディズムは時に食生活は食事療法を混乱させ健康被害をもたらし詐欺的商法に悪用されます。「体によい」といわれる食品を次々に食べ足して太ってしまう人がいる一方で「体に悪い」といわれる食品を排除して栄養不良に陥る人もいます。またこの類の健康食品を高額に売り込む詐欺商法も後を絶たない状態です。健康に対しては食のみではなく栄養、休養も大切であり食事もバランスよくとることが大切です。願望を抱かせるような食情報には注意が必要です。なお、サプリメントについても最近はよく摂る人がいますが和食中心の適切な食習慣、適切な運動、禁煙などの適切な生活習慣の上に必要に応じてビタミンあるいはミネラルなどが含まれる「ベースサプリメント」の摂食が大切です。ただしこのサプリメントについてもフードファディズムがあり、自分自身の栄養状態を考慮して最低限の摂取に限定する必要があります。 山田医院 医師 山田 良宏 |
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