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てんかんについて ヒポクラテスの時代から神聖病として記載がある「てんかん」は神経疾患の中では頻度の高い疾患であり有病率は0.5から1%と言われています。「てんかん」というと子どもが突然倒れて泡を吹いて全身が痙攣するというイメージを持つ人も多いと思いますが意識を失う事がない発作あるいは口や手などの自動運動が起こる発作、既視感(今までに見たことがないものでも見た感じを受ける)、腹部不快感などの内臓症状が起こるてんかん発作もあります。なお、「てんかん」は子どもの病気と考えられがちですが60%以上は15歳以上に起こります。意識消失を起こす脳血管障害、あるいは低血糖発作、力みや排尿などで意識消失が起こる血管迷走神経性失神、電解質の異常、脳梗塞などの脳血管障害あるいは脳腫瘍等の病気もあり鑑別診断は重要です。このような「てんかん」と類似した症状を示す疾患が多いこともあり、通常は発作が2回以上あった場合に治療が必要となります。なお、「てんかん」の病態ですが最近は分子生物学的な遺伝子解析が進み一部の遺伝子異常の発見があります。ただし、現時点においては遺伝子異常が見つかるのはごくわずかといわれています。ただし遺伝子レベルにおいては脳細胞のチャネル異常の発見もありこのチャネル異常の発見から理論的に抗てんかん薬の開発も進み日本においても2006年に6年ぶりに新しい抗てんかん薬が発売されています。いままでの抗てんかん薬は偶然に発見され、抗てんかん薬として使用されていた様です。「てんかん」の検査としては脳波が最も大切な検査です。睡眠の段階にならないと出現しない波形もあることから臨床的には睡眠と覚醒の両方を取る検査が重要です。発作から3週間以内に脳波を取ると約40%においては異常を認め「てんかん」の診断がつくといわれています。5回脳波を取ると80%程度においては診断可能と言われています。ただし、逆に全く正常な人でも4%くらいに脳波異常があるといわれており診断は難しい面もあり、診断に際しては発作の状況の情報が必須です。なお、最近ではSPECT、PETなども補助的に診断に使用することがあります。治療は先ほども記載しましたが基本的には2回目の発作から行います。通常は長期間にわたり、服薬を継続する事が大切ですが、2年以上発作がない場合には脳波等を参考に薬物の減量後に服薬を中止としますが、薬物を中止した際の再発率は25%程度あります。抗てんかん薬は催奇形性(服薬をしていて出産した場合に奇形になる可能性)があると言われています。奇形の種類は多数あり特定の奇形が生じるわけではありませんが危険があることから妊娠可能年齢の「てんかん」を持つ女性においては妊娠前から断薬を試みることが望ましく、断薬が不可能な場合でもできるだけ単剤にして少量でのコントロールが望ましいといわれています。なお、薬を飲んでも発作が止まらない患者さんは15%程度ありそのなかの半分は外科的治療の適応となります。外科治療としてはてんかん発作の原因となる脳の領域を完全に切除する根治的手術と、発作波の伝導路を遮断して重篤な発作を防止する事を目的とする姑息的手術があります。内側側頭葉てんかんについては手術により80%は発作が完全に消失するといわれています。外科手術は年間に500例ほどしか行われていませんが、今後は世間一般に浸透する必要があります。「てんかん」についての現在の最も大きな問題点は外科手術等を含めたあらゆる治療を行っても発作を止める事が出来ないものがどうしても10から15%程度あることで、このような方にたいしては包括的医療といい発作に対する身体的治療、精神障害に対する精神的治療、リハビリあるいはカウンセリングなどを含めた社会的な治療が必要です。日本においては「てんかん」の専門医は小児科医におおく神経内科の医師においても関心が高いとは言えず、精神科の医師においても関心が薄い事が問題です。欧米諸国と異なり日本においてはまだまだ包括的な医療は出来ていないのが現状であり今後さらに検討する必要があるようです。 山田医院 医師 山田 良宏
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