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軽度の認知障害MCIについて 急激なスピードで高齢社会に突入していますが、高齢人口の増加に伴い認知症患者さんも増加しています。アリセプトという薬がアルツハイマー型認知症の治療薬として使用されるようになり、認知症の早期発見、早期治療がますます重要となりました。このためにアルツハイマー型認知症の前駆状態あるいは初期像を理解して診断する事も臨床上極めて重要な事です。アルツハイマー型認知症の前駆状態に関する代表的な概念としては軽度認知障害(MCI)があります。この軽度認知障害とは認知機能(五感(視る、聴く、触る、嗅ぐ、味わう)を通じて外部から入ってきた情報から物事や自分の置かれている状況を認識したり、言葉を自由に操ったり、計算したり、何かを記憶したり学習したり、問題解決のために深く考えたりといった、いわば人の知的機能を総称した概念)は低下しているものの日常生活動作は保持しており、認知症の状態には至らない状態を示します。このうち記憶障害を伴う軽度認知障害は特に進行するリスクが高く年間にアルツハイマー型認知症に移行する割合が12%程度であるといわれています。この軽度認知障害の原因はアルツハイマー型認知症の他に血管障害、うつ病、薬物によるものなども含まれており診察時には鑑別が大切になります。脳血管性認知症は点典型的な場合には脳血管障害の後に発症しますが、外来通院中に次第に認知症症状が出現した場合にはアルツハイマー型認知症が疑われます。初期の症状としては「短期の記憶」と「時間の見当識障害」があります。 短期の記憶については前夜の食事内容が有効です。(朝であるとメニューのバリエーションが乏しくごはんと味噌汁などと答える事が多くあまり有効ではありません。)内容を答えられないときには短期記憶の障害が強く疑われます。時間の見当識障害については本日の日付を確認する事が最も分かりやすい方法です。これに答えられないときには時間の見当識障害があると疑われます。この2つについては比較的早期から傷害されるのでこれができない時には認知症を疑う必要があります。ただし、精神安定剤あるいは睡眠剤等の薬物を服用しているときには薬物の副作用の可能性も考慮する必要があります。では軽度認知障害からアルツハイマー型認知症への移行を予防する方法ですが運動療法も1つであるといわれています。運動を継続して行う事により記憶能力および運動能力を改善する可能性があり認知症発症の予防になるといわれています。その他読書やチェス・ゲームなど知的な刺激をもたらす活動、および楽器の演奏やダンスなどの運動と知的活動の組み合わさった趣味活動が良いといわれています。食事としてはビタミンC、ビタミンEの摂取、魚を多くとること、少量のアルコール摂取は予防になるといわれています。一方喫煙、高カロリーの摂取、高脂肪食については危険因子とされています。なお心血管系危険因子のコントロールも大切です。高血圧、高脂血症、糖尿病については血管性認知症のみならずアルツハイマー型認知症についても増やす事が証明されつつあります。メタボリックシンドローム も含めて生活習慣を含めて改善する必要はあります。薬としては現時点においてはアリセプトが中心的な治療薬です。ただし、このアリセプトは軽度から中等度のアルツハイマー病に適応がありますが半年程度で治療効果がなくなることも多いのが現状です。漢方薬を使用することがありますが、証により効果が異なる点や効果の不確実性が問題となります。なお、特殊な認知症として18歳から39歳の間で発症する若年期認知症あるいは40歳から64歳の間に発症する初老期認知症があります。これらの認知症は能力低下に伴う社会生活の不適応があり発見も早くなりますが治療法がなく社会生活上大変な問題となります。現時点においては特殊な薬はアリセプトのみでこの薬物の効果は軽度あるいは中程度のアルツハイマー病である事を考えると軽度認知障害をできるだけ早く発見して運動あるいは食事等に気をつけて服薬を行なうことで進行をできるだけ抑える事が大切です。薬物あるいはその他の基礎疾患により認知症と間違えることはありますが先ほど述べた短期記憶の障害あるいは時間の見当識障害があると感じた時には出来るだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。 山田医院 医師 山田 良宏
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