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咽頭結膜熱(プール熱)について ニュースでもよく見かけると思いますが、今年はプール熱が大流行しています。過去15年の発生状況を見ると大流行した2年前よりもさらに多くなっています。当院においても、診察をしていて流行の実感は確かにあります。今年の夏は高熱、喉の痛み、赤い目をしている幼児を多数認めます。このプール熱は、正式名は咽頭結膜熱といいます。プールを介して感染することが多かったために、プール熱と言われる事が多くなっています。咽頭結膜熱は、毎年夏季に幼児ならびに学童を中心に流行する夏風邪の1つです。咽頭結膜熱以外にヘルパンギーナ、手足口病も夏に多い感染症です。今年は手足口病はあまり流行していないようですが、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱、溶連菌感染症が例年よりも多くなっています。今回は、今年大流行をしている咽頭結膜熱についての説明をします。 咽頭結膜熱は、アデノウイルス感染による感染症です。ウイルスに感染後5―7日程度してから病気を発症します。主な症状は高熱(39度前後)、咽頭部痛、結膜炎症状(眼の発赤、痛み、目脂など)で熱は5日程度持続します。発熱に伴う頭部痛、全身倦怠感、食欲不振等も出現します。なお眼の症状は、一般的に片方から始まりその後他の方にも出現します。なお、下眼瞼結膜に強く症状が出て上眼瞼には症状が弱いとされています。なお、眼に永久的な症状を残す事はありません。アデノウイルスにはいくつもの亜系(52種類)があり、咽頭結膜熱を起すのはアデノウイルスの1.2.3.4.7型と言われています。3型、2型が多く3型、7型になると重症になると言われています。特に7型については、心肺に基礎疾患を有する児では重症化するといわれているので注意が必要です。流行性角結膜炎、急性濾胞性結膜炎など目を中心に起す病気もアデノウイルスが原因となっています。なお、乳幼児の急性上気道炎感染症(いわゆる風邪症候群)の原因の10%がアデノウイルスとも言われています。なお、中学生以降に罹患する事は稀で殆どは5歳以下(幼稚園、保育所)での発症となります。なお、アデノウイルスは感染力が強く一旦罹患すると症状が改善したあとでも喉からは14日間、便からは30日間程はウイルスの排泄が続くと言われていますので注意が必要です。なお感染経路ですが患者さんからの飛沫感染(つばが入る)、接触感染(目脂がつくなど)が中心です。患者さんとのタオルの共用、家族内感染が多くなっています。では、プールでの感染はどうでしょうか?プールについては遊泳用プールの衛生基準があります。この基準に沿えばプールの塩素は0.4〜1.0ppmとなっています。アデノウイルスは塩素濃度0.5ppmで急速に死去、0.4ppmで10分程度で死滅すると言われています。プールの監視員が時々プールの水の計測をしているのはこの塩素濃度を測定しており、この濃度にあわせて塩素を投与しています。(塩素濃度は太陽光線、人の汚れ、水着等により消費されすぐに減少するので、1日に2回の測定が義務となっています。)だから、一般的にはプールでの感染はあまり心配しなくてもよいかもしれませんが、プールの後にはきっちりと眼を洗い、うがいをする事は大切です。治療については対症療法しかありません。インフルエンザや水痘などのように特効薬がないために、安静ならびに水分補給と症状に合わせたお薬で経過を見ることが大切になります。なお、このウイルスはエンベロープがないためにエタノールで死滅します。流水で手洗い後に90%エタノールでの消毒が大切になります。なお、この咽頭結膜熱は学校保健法では主症状が治った後2日を経過するまでは出席停止となっています。なお、裏話になりますが、このアデノウイルスについては4、7型のワクチンが開発され、アメリカ軍の新兵たちは経口生ワクチンの接種を1971年から受けており効果があったようです。急性気道炎については95%以上減少したようです。ただし、1997年にはワクチンの製造が中止になったために接種も出来なくなり、新兵たちも基礎訓練施設においてのアデノウイルス感染症が再び増えたようです。日本においてはワクチンについての話はありません。このアデノウイルスの診断は臨床診断ならびに迅速診断キットを使用しています。このキットは、咽頭部位を綿棒でこすり合わせて免疫反応で感染の有無を調べるもので、10―15分程度で判定が出来ます。当院においても、時々このキットを使用して判定を行なっています。アデノウイルスは特効薬がないために診断意義は少し薄れますが、抗生物質を使う必要があるか、今後発熱はどのくらい持続するのか、兄弟にうつる危険はどのようなものか等を判断するには必要なものとなっています。もうしばらくこのアデノウイルス感染による咽頭結膜熱は流行しそうなので、手洗い等には気をつけて夏をお過ごしください。 山田医院 医師 山田 良宏
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