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| 温泉を利用した入浴療法は「古事記」、「日本書紀」にはすでに記述があります。日本は2000以上の温泉地を有しており世界一の温泉大国といわれています。入浴が一般に広がったのは江戸時代からといわれていますが、現在では睡眠、食事などと同じように生活リズムの1つとなっています。一方入浴中の事故も多く報告されており、入浴中の死亡は65歳以上の高齢者が大部分を占めており、死亡数から見ると交通事故死よりも多く年間に3000人以上となっています。時期的には冬が最も多くかつ自宅の浴室の中で起こっています。原因としては心血管病変(心筋梗塞や脳卒中など)が最も多くなっていますが、溺れる事による原因も多いのではないかと考えられています。浴室の手すりやブザーが必要であると同時にアルコールを飲んだ後の入浴は禁物です。 入浴の生理的効果としては@温熱効果(温熱に伴う血圧、脈拍、血液粘度、エネルギー代謝などの変化)A水圧効果(水圧による血液循環の変化)、B浮力効果(体が軽くなる変化)があります。入浴の際の基本的な注意事項としてはまず浴室の温度が低くならないように暖める。かかり湯をしてから入浴する。アルコールを飲んでから入浴しない。食後は1−2時間ほどしてから入浴する。入浴後にはコップ1−2杯の水分補給を行なう。などと言われています。 高血圧や心不全など心疾患を持っている人では血圧の変化、心臓への負担が身体にこたえるので38度から41度の温度が望ましくなるべく浅い入浴(寝湯や腰湯)が望ましく、またサウナに関しては60度前後の低温サウナが負担もなく良いと思われます。また更衣や洗身時はゆっくりとするようにします。 骨関節疾患,脳血管疾患などの場合には痛み、関節のこわばりなどに関しては温熱効果により改善が期待できます。またリハビリとして低温浴での運動などもよく知られています。なお関節疾患でも炎症があるときは入浴により炎症が悪化することも多く入浴は短時間にするべきでしょう。最近では脳卒中後遅くとも3週間以内までには入浴するようになってきました。 呼吸器疾患では水圧の影響が少ない胸部までの入浴が良いと思われます。気管支喘息があるときは40−42度の温度で2−5分程度の入浴が望ましいと思われますが、特に発作がないときは入浴の制限はなく全身浴でも問題ありません。なお肺気腫では高温だと呼吸困難を起こすので38−40度で比較的短く入浴するのがいいでしょう。なお、風邪の時の入浴ですが明らかな見解はありません。一般的には疲れない程度に入浴し湯冷めしないようにすれば問題がないと思います。なお,温泉あるいは24時間風呂に関連してレジオネラ感染症が問題となっています。このレジオネラ菌は自然界に広く分布しており温泉等にも広く分布しているようです。この菌が口の中に入ることにより感染、肺炎,腸炎などを起こします。もし温泉旅行の後で咳が止まらない、発熱したなどがあれば医療機関の受診を勧めます。入浴の効果は肉体的なもの以上に精神的リラックスも大切です。そのためには入浴剤の利用など心がけるのもいいかもしれません。秋の夜長適度な入浴でお体の疲れを癒してください。 山田医院 医師 山田 良宏 |
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