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高齢者の虐待について平成17年11月1日に「高齢者虐待の防止、高齢者の擁護者の支援に関する法律」いわゆる「高齢者虐待防止法」が成立しました。平成12年の「児童虐待防止法」、平成13年の「配偶者間暴力防止(DV)法」とともに虐待防止3法がそろった事になります。以前、病院ならびに施設等でよく行われていましたが、暴れる人に対してベッド柵に紐をつけて手足を縛っていた事を見た方も多いのではないでしょうか?実はこの行為は身体拘束といい身体的虐待になり、現在では基本的には禁止されています。 高齢者の虐待としては @身体的虐待(暴力的行為によって身体に傷やアザ、痛みを与える行為や外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為) A精神的、心理的虐待(脅しや侮辱などの言葉や態度、無視、嫌がらせ等によって精神的に苦痛を与えること) B性的虐待(本人が同意していない、性的な行為やその強要) C経済的虐待(本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人が希望する金銭の使用を理由なく制限すること) D介護放棄、放任(必要な介護サービスの利用を妨げる、世話をしない等により、高齢者の生活環境や身体的・精神的状態を悪化させること)があります。 新しく出来た「高齢者虐待防止法」という法律は虐待者を取り締まる事が目的ではなく介護者などを支援すると言ういわゆる福祉法的な性格の強い法律となっています。 アメリカにおいては1980年代にすでに州法など高齢者虐待防止の法整備が行われてきました。日本においては平成6年頃にようやく高齢者虐待に関する調査が行われてきましたが、最近では学会等もあり研究ならびに調査等がよく行われるようになりました。 家庭内における高齢者虐待では介護保険の施行前後で違いもでてきたようです。介護保険施行前では虐待をする側もされる側も女性が8割で、虐待の種類も介護放棄、放任(ネグレクト)が半数を占めていました。 介護保険施行後は虐待を受ける高齢者の2.5割が男性で7.5割が女性。虐待をしている人の5割が男性で息子、嫁の順番で多くなっています。 なお、虐待の種類としては身体的虐待及び心理的虐待が多く、全体の8割が認知症高齢者であること、また重い身体障害をもつ事が多いことも分かりました。なお虐待者の5割に自覚がなく、また虐待により生命に危険な状態のあった例は1割近くもあるという高齢者虐待の深刻な状況が浮き彫りにされています。多くの虐待事例では介護を家族だけで行おうとしたり、虐待の事実を隠そうとする傾向が強い事が分かっています。また虐待の背景には過去や現在の親子、夫婦、親族などの家族関係ならびに財産問題等も複雑に絡み合っているために家族が孤立している状況ならびに高齢者が隔離されている実態もあります。 なお、パターンとしては @介護熱心な家族による虐待(教育熱心な母親は子どもをよく叩くのように献身的な家族が虐待を行う例もあります。) A認知症に対する理解が困難な例(被害妄想ならびに健忘に対して病気と認識せずに苛立ちを覚えるなど) B社会的自立が出来ていない子どもによる金銭などの要求 C過去の家庭内虐待の継続あるいは地位の逆転 などがあります。 虐待においては加害者も支援を必要としている人と認識をする事が大切です。 高齢者虐待に対する対応ですが、虐待については自覚が無い事も多いためにまず市民の啓発が大切になっています。大阪府においても大阪府高齢介護室を中心にシンポジウム等を行っています。 なお、相談窓口としては高齢者虐待防止相談窓口として大阪府立介護実習・普及センターが相談を行っています。(相談日は午前9時から12時まで。電話相談は072ー626ー1882) なお、相談の基本方針としては @センター内緊急会議の実施 A保健師による支援訪問の実施 B高齢者虐待調整ワーキング会議の開催 などがあります。 なお、高齢者虐待については最近は介護支援専門員(ケアマネージャー)に対する勉強会でも取り上げられる事が多くなっていますので担当の介護支援専門員にまず相談をする事ならびにかかりつけ医師に相談をする事が大切だと思います。 山田医院 医師 山田 良宏 |
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