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脂質異常症について 特定健診等でコレステロールあるいは中性脂肪の異常を指摘される人は多くなっています。欧米先進国ではコレステロール値は減少傾向ですが日本においてはまだ高値を保っている状態です。男性では20−30歳代にかけて上昇、女性では40歳代から上昇、閉経でさらに上昇します。コレステロールあるいは中性脂肪等の異常は動脈硬化を起こすために脳梗塞あるいは心筋梗塞のリスクとなるために問題となっています。悪玉コレステロールであるLDLコレステロールは血管の内腔を覆っている内皮細胞の機能低下を起こして血栓になるプラークというものを形成する原因となります。このプラークが破綻すると心筋梗塞になります。循環器内科領域である心筋梗塞、狭心症などの疾患についてはカテーテル治療といい冠動脈内にステントを入れる治療が行われています。このステントを入れる治療においてはステントの再狭窄が問題でしたが抗凝固剤溶出性ステントが出現した事により再狭窄は75%も改善しました。ただし治療後4年以内に発生する死亡、心筋梗塞については大きな変化がないことが分かりました。心筋梗塞は先ほど述べました不安定プラークが破綻する事によって生じます。このプラークが破綻する部位の70%は狭窄度が50%未満と言う軽度の狭窄部位です。狭窄が50%未満では胸部痛等の狭心症症状は起こらず、また運動負荷試験等でも異常は証明できません。薬剤溶出性ステントを入れても違う部位で不安定プラークができて心筋梗塞が発症します。そのために薬剤溶出性ステントは再狭窄を抑制しても4年以内の心筋梗塞の発症等を抑える事が出来ない事がわかりました。このためには不安定プラークの安定化が大切で食事運動等の生活療法に加えて積極的なLDLコレステロールを低下させる薬物療法が必要になります。心筋梗塞等をしたことがなく全く合併症がない人ではLDLコレステロール値は140未満が基準ですが不安定プラークを安定化させるためにはLDLコレステロールを100未満あるいはそれ以上に低下させる事が大切です。リスクのある人についてはコレステロールを積極的に低下させる事が大切ですがリスクのない人についてはどうでしょうか?現在のガイドラインではLDL-コレステロール140未満等の基準があり特定健診等ではこの値を超えると異常であると指摘されると思います。ガイドラインでのこの値は基準であり治療開始の基準ではない事を承知する事が大切です。現在のガイドラインは喫煙の有無、高血圧の有無等のリスクの個数で基準を決定していますが本来ならば個別にリスク管理を行う必要があります。これは絶対リスクと言われており年齢、性別、血圧の値などから個別のリスクを求める方法で欧米等で使用されている方法が今後はガイドライン等でも導入される見込みです。コレステロールが低いと死亡率が高くなるという考え方は極端ですが、脂質異常については心筋梗塞等のリスクが高い人については積極的に強い治療法が必要です。逆にリスクの少ない人についてはすぐに薬を服用するのではなく生活指導などによる改善が大切です。包括的治療(管理)といいコレステロールだけを下げるのではなく喫煙、血圧、血糖など動脈硬化を起こす原因に対して全体的な治療管理が大切な事になります。今回は日本医師会雑誌平成23年9月号を参考に記載しました。 山田医院 医師 山田 良宏 |
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