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肥満症について
特定健診、メタボリック症候群の診断を健診において行うようになり肥満についての意識がやや高まりつつありますが、肥満と判定される方はまだまだ多く認めます。 肥満は単に体重が重くて脂肪組織が多いだけではありません。 生活習慣病といわれている糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの多くの疾患を発症させる源泉でもあります。この主たる原因は内臓脂肪にあることが明らかになってきました。
最近では脂肪細胞はアディポサイトカインといわれる種々のホルモン様物質を生産して多くの生活習慣病の元になっていることが分かりました。生活習慣病は肥満でない人にも遺伝的な関連性で発症することもあります。ただし多くの場合には遺伝的な要因があり肥満が加わる事で発症する事が多くなっています。 少しの減量で生活習慣病の状態がよくなることは日常的にはよく見かけることです。
肥満の診断ですが脂肪組織量を正確かつ簡単に測定する方法はなく国際的にも体脂肪量と最も相関する体格指数であるBMI(BodyMassIndex)を使用しています。BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)です(身長170cm、体重70kgであれば70÷1.7÷1.7=24となります。)日本ではBMI25以上が肥満と判定、欧米ではBMI30以上が肥満です。
BMIが25以上になると疾患を合併する頻度が高くなります。死亡率あるいは疾患罹患率が最も低いのはBMIが22前後です。肥満が疾患になると肥満症といわれます。肥満症は治療すべき肥満です。 具体的には肥満に伴う糖尿病、脂質異常症、高血圧症、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などが合併した状態を肥満症とします。肥満に上記の糖尿病などの生活習慣病が合併する事は感覚的に理解できます。 その他悪性腫瘍では男性では大腸癌、前立腺癌、女性では乳癌、子宮内膜癌と関連しています。 悪性腫瘍以外では胆石、子宮筋腫、静脈血栓症、気管支喘息との関連を指摘されています。なお、BMIが同じでも腹囲が大きい方が冠動脈疾患あるいは糖尿病の有病率が高くなることから皮下脂肪よりも内臓脂肪のほうが危険でありより積極的な医療介入が必要な状態と言えます。
肥満の人は運動不足と過栄養があるので基本的には運動(週に3回以上、30分程度持続して運動中に会話が出来る程度の強度の歩行、水泳など)とカロリー制限が必要です。 最近はNEATと言われる概念が話題で、運動習慣のない人でも座らずに立ったまま家事をするなど日常生活の中で身体をまめに動かす事でエネルギー消費を高めて肥満防止に有効であることが明らかになっています。実際に肥満の人は運動だけではなく総身体活動も短い傾向であり少しした意識の改善も肥満にはよいと思われます。 なお、治療法の1つに外科治療があります。BMIが35以上においては胃を切り小腸とつなぐ手術(胃バイパス術)、胃の入り口を縛り付けて摂食量を減らす手術(胃バンディング術)、胃を切って細くする手術(スリーブ状胃切除術)が腹腔鏡手術で行われています。日本においてはスリーブ状胃切除術が広まっています。 肥満に対する薬物としては現在は1種類のみ保険適応ですがBMI35以上の高度肥満に対して3ヶ月未満と厳しい条件で日常診療ではほとんど使用されていません。研究途上である薬物が多く今後の開発が期待されています。肥満は簡単そうでなかなか治らない状態です。日常的にこまめに動き、腹7分目の気持ちで生活しましょう。
山田医院 医師 山田 良宏 |