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骨と間接の10年
WHO(世界保健機構)が2000年から2010年を国際的な「骨と関節の10年」(The Bone and Joint Decade)と定めたことに基づいて日本でも骨と関節の病気の制圧に向けて種々な取り組みが行われています。この「骨と関節の10年」の意味は何でしょうか?今までは癌、心臓疾患、脳卒中を中心に研究が進められ命を少しでも長く伸ばすことを目標にしてきましたが、この目標がある程度達成された現在においては生活の質「QOL:Quolity of Lifeといいます」を伸ばすことが目標となったわけです。高齢期の自立を支えるのが“動くことができる”分かりやすく言うと“足腰がしっかりしている”ことです。このとき一番大切なことが運動器であるために「骨と関節の10年」という取り組みができました。今回は骨折が10年間に倍増しているといわれている骨粗鬆症と膝関節症ならびに骨折についての現状と今後についての見通しなどをまとめてみました。現在骨折は保存的治療としてはギプス固定あるいはバンド固定が行われており、手術療法としてはプレート固定(折れている部位にプレートを当てて固定する)、髄内釘固定(大腿骨など太くて長い骨の中に釘を固定する)、創外固定(折れた骨が皮膚の外に出ている時などは皮膚の外から骨を固定)などが行われています。これらの方法は骨折の状態に応じて選択されますが、根本的には骨折の修復は骨に内在する再生能力によります。将来的な展望としてはこの再生能力を高める方法が考えられています。具体的には骨形成蛋白BMPなどの投与等が現在治験中であり近い将来に使用されるようです。なお、骨折については骨粗鬆症が問題となっています。生涯にわたり骨粗鬆症で骨折が生じる危険性は女性では40%といわれています。実際に骨量が若年成人の平均値の70%以下になると骨折が増加するといわれています。最近の研究で骨粗鬆症の人では脊椎(背骨)の骨折がある人では年に約5%、骨折がない人では年に約1%の割合で新たに椎体骨折を起こすことが分かってきました。すなわち背骨が曲がっていない人でも年間1%の可能性で背骨が曲がる可能性があり、すでに曲がっている人では年間に5%の割合でさらに曲がってくることが分かったのです。自覚症状の有無にかかわらず脊椎骨折がある場合には加療が望ましいと思われます。加齢に伴い関節の変形等が起りますが部位としては膝が最も多いといわれています。関節表面にある関節軟骨が破壊されることによりこの膝関節症が始まるといわれています。特に大腿骨と下腿骨の内側部位での障害が最も多く運動開始時の痛み、階段降下時の痛み等が特徴とされています。関節軟骨の障害を問題なく治癒させることは困難であり現在では関節症が進行すると人工関節を使用する手術療法が主流となります。ただし、手術以外にも大腿骨前面にある大腿四頭筋を鍛えるリハビリテーションの効果の有効性も証明されております。その他関節内に関節の潤滑油として働く薬剤の投与等一般には多くの治療法が行われています。将来的には再生が困難とされている関節軟骨の移植あるいは再生が実際に臨床応用されるようになってきました。今回は一部のトピックスを紹介しましたが今後はEBMといわれる“科学的根拠に基づく医療”を私たち医療機関が示していく必要があると思います。
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