テキスト ボックス: 女性の敵:乳癌について
テキスト ボックス: 女性の悪性新生物の中で著しい増加を認めている乳癌はイングランドウエールズ地方と比べると死亡率は約1/5程度ですが、罹患率をみると現在では日本女性における癌の第1位となっています。40歳代をピークとして20歳代から90歳代まで幅広く認められています。今回は乳癌の診断から治療まで最近の話題も取り込みまとめてみました。80−90%の人は自己検診にて発見していますが2cm以下の早期乳癌については人間ドッグや健康診断においての発見率が高くなっています。健診におけるマンモグラフィー(乳腺のレントゲン写真)や超音波検査の役割が大きいと考えられています。なお、乳癌の発見後は乳腺内の広がり等を検索するためにCTやMRIをとることも行われており、この検査の結果手術術式も検討されることになります。20年前まではHalsted式といわれる胸部の筋肉と脇下のリンパ節ごと乳腺を取る手術が定型的手術と言われていましたが、リンパ流の研究等が進み15年程前からはPatey手術あるいはAuchincloss手術といわれる胸部の筋肉は温存した手術が標準術式となりました。種々の研究において癌周囲の乳腺とリンパ節のみを切除するいわゆる乳房温存手術が他の今までの手術と比べて生命予後に差がないことが分かり10年程前から次第に乳房温存手術が行われるようになりました。最近では一部のリンパ節を検査するのみでリンパ節の切除も行わない手術も行われています。なお、この乳房温存手術は術後4週間ほどの放射線療法が基本となっています。乳癌の治療は根本的治療である手術のほか放射線療法、化学療法が補助療法として行われています。放射線療法は先ほどの乳房温存手術に行う場合以外にも進行乳癌や骨や脳などの転移に対しての治療に行われます。副作用としては照射中あるいは照射後すぐに認められる皮膚障害(乾燥性皮膚炎や紅斑など)あるいは照射後数ヶ月から数年して認められる肋骨骨折や上肢のむくみなどがあります。化学療法はホルモン療法と抗がん剤療法に分けることができます。基本的にはホルモン療法か抗がん剤療法を順番に使用します。一般に腫瘍のホルモン検査を行いその結果ホルモン療法の効果が期待できる時はまずホルモン療法を行い効果がなくなると抗がん剤治療を行うことが多いようです。両者とも薬剤の開発が進み新しい効果の期待できる薬剤が開発されています。ただし抗がん剤療法においては脱毛や吐き気などを伴う薬剤もあり開始前に検討が必要です。なお、最近では遺伝子診断が進み乳癌においてもBRCA1,BRCA2などの遺伝子の異常により発癌前診断が可能となっています。なお、遺伝子診断は発癌前診断だけでなく治療方針にも役立っています。(erbB2という癌遺伝子の発現を認める時は悪性度が強いために治療方針を決定する際には重要となります。)なお、術後の通院は2年間は3カ月おきに2年間から5年間は6カ月おきに5年間から10年間は1年おきに、10年以降については再発も少ないために通院は任意となるのが一般的なようです。乳癌は局所の病気という考えから全身の病気と考えるようになり、また女性のシンボルである乳房をいかに残すかということを念頭にして乳房の温存手術が始まりました。治療の進歩はありますが、治療中あるいは治療後の患者さんに対する精神的フォローが少ないのも現状です。乳癌患者の会(あけぼの会:tel 03-3792-1204)等の患者さんの会を利用したりあるいは当院を含むかかりつけ医に相談することで精神的不安等をなくすことも大切なことです。
山田医院  医師   山田 良宏

女性の敵:乳癌

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テキスト ボックス: 2001年7月20日発行
テキスト ボックス: 第2巻 第7号
テキスト ボックス: 医療法人 山田医院
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水曜日午前中は予約診療として胃カメラ、大腸(直腸、S状結腸)カメラや超音波検査などをしております。
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