テキスト ボックス: Page #
テキスト ボックス: 第2巻 第5号
テキスト ボックス: 軽い糖尿病の大きな危険性
 
“ちょっと血糖値が高い”はもう軽い糖尿病
 医師から「糖尿病とまではいかないが、ちょっと血糖値が高い」といわれたり、診断書に「要観察」などと書かれるのが、まさにこのケースです。

 この軽い糖尿病(境界型糖尿病)は本物の糖尿病になる前段階です。そのため多くの人は「本物の糖尿病にさえならなければだいじょうぶだ」と油断しがちです。ところがこの軽い糖尿病自体すでにいろいろ問題があり、積極的な対応をすべき状態で、食生活に気をつけられることをおすすめします。

軽い糖尿病でも動脈硬化が進んでいることが多い
 糖尿病は軽いうちは自覚症状がまったくないため、病気であることに気がつきません。ところが、軽い糖尿病でもその状態を10〜20年と長期間放置すると、さまざまな合併症を引き起こしてしまうのです。
 長期に患えば死亡率は、非糖尿病者に比べて2〜3倍に、失明は10倍に、足の壊疽は20倍にもなるのです。
 
また、この段階ですでに動脈硬化が進んでいることがありあます。大阪大学と順天堂大学で、境界型糖尿病者20〜60歳代100人を対象に超音波で動脈硬化の進行程度を調べたデータがあります。
頸動脈の血管壁の厚さは1.1oを越えると動脈硬化が進行していると考えられています。通常は年をとるほど血管壁が厚くなりますが、境界型糖尿病者ではどの年代でも動脈硬化が進んでおり、40歳代ですでに1.1oを越えていたのです。
 動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす怖い症状で、動脈硬化によるこれらの血管障害は年々増加しています。いま脳梗塞患者の53%、心筋梗塞患者の36%が糖尿病患者です。


3割が正常に戻る
 軽い糖尿病のうちでも、コントロール状態が悪いと本物の糖尿病になる確立が高く約30%といわれています。特に血縁者に糖尿病がある場合はさらに高くなります。しかし、正常な血糖値に戻る確立もまた、約30%あります。まさにこの時点が分かれ道といえます。

肥満や過体重の人は、食事を見直し、運動を心がけて改善することによって糖尿病への移行を予防することが確実にできます。
そのためには定期的に検査を受けて血糖値の動きをいつも知っておくことが肝要です。糖尿病は、ある日突然高血糖になるのではなく、じわじわと血糖値が上がっていくという特徴があります。10年20年という長い年月をかけて慢性化していくのです。
そして大事なことは、この進行は元に戻すことができるのです。そしてそれは早い時期ほどやりやすいのです。軽い糖尿病のうちなら食事にしても運動にしても、小さな努力で大きな成果を上げることができ、それはすぐに検査値に現れます。これが本物の糖尿病になってしまうと、食事療法もうんと厳しくなります。しかも血糖値はなかなかよくなりません。

参:「栄養と料理」
東京慈恵会医科大学健康医学センター健康医学科教授池田義雄諸           管理栄養士 越後 和恵
      メニュー  Page1  Page2  Page3  Page4  Page5  Page6       
      メニュー  Page1  Page2  Page3  Page4  Page5  Page6