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山田医院だより

第19巻第11号(第226号)

NSAIDs持続投与の問題点について

NSAIDs(エヌセイズ)とはステロイドではない抗炎症、鎮痛、解熱作用を持つ薬剤のことでいわゆる痛み止め、解熱剤のことです。シクロオキシゲナーゼ(COX)というアラキドン酸からプロスタグランディンという様々な働きをする生理活性物質を生成する酵素を阻害するのがNSAIDsの作用です。このCOXにはCOX-1とCOX-2のアイソザイムがありCOX-1は血小板、胃、腎臓などほとんどの臓器に発現していますがCOX-2は炎症の部位に発現しています。たとえば胃粘膜においてはCOX-1のみが発現しておりこれにより過剰な胃酸分泌を抑制していますがNSAIDsによりCOX活性が阻害されると胃腸障害が起こるようになります。痛み止めで胃が痛くなる理由はこれになります。この副作用を抑える目的で開発されたのが炎症部位のCOXのみを抑えるCOX-2阻害剤です。このCOX-2阻害剤は日本においてはセレコックス1剤だけが保険収載されており、COX-2阻害の選択性が高いNSAIDsとしてはモービック、ハイペンなどがあります。ただし、COX-2阻害剤をふくめてNSAIDs全体に問題点について今回は日本医事新報平成28年10月13日号から抜粋をします。NSAIDsの長期投与の問題点としては先ほどの消化管障害をはじめ、腎機能障害、心血管障害、中枢神経障害、造血器障害、過敏症などがあります。今回は腎機能障害、心血管系障害、過敏症について記載します。NSAIDsによる薬剤性腎障害は血流障害、アレルギー機序など様々な要因で起こります。血流障害に伴う腎障害はNSAIDs服用後1週間以内に尿量が少なくなる急性腎障害で発症することが多く通常は服薬を止めて輸液などを行えば回復することが多くなっています。一方、アレルギーに伴う腎障害では尿量に変化なく服薬1ヶ月ほどして発症するために注意が必要となっています。腎障害の危険因子としては腎血流量が低下している状態(低栄養状態、脱水、発熱)、加齢、造影剤使用後などでまた利尿剤、ACE阻害剤、ARB阻害剤などの降圧薬、帯状疱疹の薬などの服薬中は注意が必要になります。高齢者では糖尿病、高血圧、脂質異常症などの疾患を持っていることも多く腎機能低下の可能性が高いために半減期の長いNSAIDs(1日1回あるいは2回の薬)は避けるべきかもしれません。なおアセトアミノフェンを用いるべきと言われています。心血管障害についてはNSAIDsによる血圧上昇や体液貯留が様々な影響していると考えられています。心筋梗塞のリスクが容量増化に伴い上昇、開始1週間目で発現して最初の1ヶ月のリスクが最も高いとされています。なお、心筋梗塞後の再発、死亡のリスクを上昇、心房細動/心房粗動のリスクを上昇させることが分かっています。なお一部のNSAIDsは抗血小板剤のアスピリンの効果を減弱させるために注意が必要です。妊娠後期の使用では胎児の動脈管の早期閉鎖を起こすために使用は禁忌となります。血圧については高血圧の方では特に血圧上昇が起こりやすくまた降圧剤の効果も減弱させることが分かっています。特にACE阻害剤、ARB阻害剤の降圧剤では影響が大きくなっています。過敏症についてはある特定のNSAIDsに対するアレルギーと不耐症があります。アレルギーは比較的希なようですがこのアレルギーは一生持続するためにこの特定のNSAIDsは避ける必要があります。不耐症はアレルギー反応による過敏症状ではなくNSAIDsの作用によるプロスタグランディンが減少することで生じる薬理学的な病的状態です。NSAIDs不耐症は気道型と皮膚型があり、気道型はいわゆるアスピリン喘息と言われている疾患です。気道型不耐症は小児に希で思春期以降の女性に多く成人喘息の10%を占めると言われています。激烈喘息発作と強い鼻閉鼻汁が発現ときには致死的となりますがアドレナリン注射が奏功します。セレコックスなどのCOX-2阻害剤は安全に使用、またアセトアミノフェンでは300mgまでなら使用可能です。なお、食物依存性運動誘発アナフィラキシーといい小麦などアレルゲンとなる食物摂取後の運動負荷によりアナフィラキシーが誘発される疾患がありますが、これにおいてもアスピリンやNSAIDsが原因食物摂取と重なると特に誘発されやすいと言われています。最近は関節リウマチに対しては生物学的製剤の開発など進んでおりNSAIDsの役割は大きく変化しており漠然とした投与方法が少なくなっています。効果がはっきりとわかる薬剤であるために変形性関節症を含めた痛みに対しての使用はまだまだ多くなっています。NSAIDsの持続投与により腎機能、心血管機能などのリスクが上昇することも考慮して特に高齢者、内臓疾患を持っている人に対しての適正使用が必要になっています。

山田医院 医師 山田良宏

認知症に効果的なアロマテラピー

アロマテラピーとは、植物の花や、葉、果実などの芳香成分(精油といいます)を利用して、心身の不調の改善や健康増進を図る自然療法のことです。精油の利用法としては、空気中に拡散させたり、お風呂の湯に混ぜたり、オイルで希釈したものを身体に塗ってマッサージする、など方法はたくさんあります。どの方法を使っても、花や葉、果実などがもたらす良い香りの中に身を置くことは心身のリラックスをもたらします。では、認知症とは?認知症についてきちんと理解出来ているでしょうか?
認知症には、物事を忘れてしまう「記憶障害」、時間や場所が分からなくなる「見当識障害」、いつもやっていた事が出来なくなってしまう「遂行機能障害」などが起きます。こうした症状を「中核症状」といい、さらにこの症状から二次的に生まれる「周辺症状(BPSD)」に、徘徊、暴力的、抑鬱、無気力、妄想、睡眠障害などが生じます。
この周辺症状は、中核症状から引き起こされるものなので、中核症状への対応次第で症状の軽快や解消が期待出来ます。アロマテラピーが認知症の周辺症状に効果的であることは以前より知られていました。現在は、割と多くの医療機関でも認知され医療にアロマテラピーを取り入れている所も増えてきました。先に説明した、精油は心身をリラックスさせるので周辺症状を引き起こすストレスを緩和して興奮状態を鎮めたり、睡眠障害を改善したり出来るのです。注目すべき点は、アロマテラピーが周辺症状だけでなく、中核症状にも効果があると研究報告があることです。アルツハイマー患者77人に、28日間アロマテラピー芳香浴(空気中に香りを拡散させる方法)を行ったところ、中核症状である見当識部分で効果が表れたとの報告があります。アルツハイマー患者は脳の海馬にたんぱく質の一種(アミロイドβ)が沈着し、神経細胞が変化します。これが中核症状を引き起こすと考えられています。
アロマテラピーによる匂い刺激は直接、海馬のある大脳辺縁系に伝えられ、その刺激が海馬で神経細胞を再生させることにプラスに働くとみられています。確かに匂いは脳に直接働きかけているように思いますね。匂いから、過去の出来事や、誰かのことを思い出す。これは、大脳にある嗅覚野に匂いの刺激が伝わると、記憶を司る海馬にもその刺激が届いて記憶が想起されるのだそうです。アルツハイマー患者さんの中には、物忘れの症状の前に、嗅覚の衰えに気付く方が多いようです。ということは、逆に匂いによって脳を刺激して、嗅覚を衰えさせないようにすれば認知症予防につながるのでは?と考えられています。単純に五感を刺激することは生命力向上に繋がります。ぜひ、アロマで脳刺激、お試しください。

山田医院 看護師 岩崎恵美子

電子レンジを使いすぎると老ける?!

冷凍食品やレトルト、コンビニ弁当などさまざまな食品を温める際に便利な電子レンジ。現代では欠かせない家電のひとつですがあまりに使いすぎると知らぬ間に老けていくかもしれません。老化の原因物質であるAGEs(エイジス=終末糖化産物)が体内に溜まると肌のくすみやハリが失われたりしわが増えたりなど、外見だけに留まらず内臓や血管、骨など体の内側にまで影響を及ぼします。例)動脈硬化、骨粗鬆症等。あらゆる食品にはもともとAGEsが含まれており特に肉や魚などこんがりとした焼き色がつく食品に多くあります。(豆類や野菜、果物等は逆に少ない)以前は焦げ目がつかなければ老化物質が含まれる可能性は低いと考えられていましたが、電子レンジの場合は焦げ目がなくても高温になるため同じような化学反応が起こりやすくAGEsが増えてしまうことがわかってきたそうです。そもそも電子レンジを使うとなぜ老けやすくなるかというとその加熱の仕組みにあります。電子レンジはマイクロ波と呼ばれる強い電磁波を照射し食品に含まれる水分に働きかけ発熱させることで食品を短時間で温める仕組みになっています。この高温で短時間で温めることが老化物質が増えてしまう要因になっています。加えて一度調理したものを再度温め直すことでさらに増加してしまいます。なので電子レンジを使用する際は利用時間をなるべく短めに設定するとか温め直す回数を極力減らすように意識して使用してみましょう。それだけでも影響が違ってくるかと思います。知らず知らずのうちに老化が促進しないよう電子レンジの使いすぎには日頃から気をつけましょう。

山田医院 医療事務 川村 理恵

夜尿症について

おねしょは幼児期に排尿に関わる機能が未熟なため、寝ている間にお漏らしをしてしまう事を言いますが、成長に伴い大部分は自然に治ります。小学校に上がる5~6歳を過ぎても月に複数回おねしょをする場合は夜尿症という病気と診断され、治療の対象となります。
受診するとまず尿検査で臓器そのものの疾患がないか調べます。次に問診で昼間や便の失禁など他の臓器、器質的疾患がないか判断します。
夜尿症の治療の基本は①食事や睡眠などの規則正しい生活をすることです。早寝早起き、朝食昼食をしっかり食べる、夕食は寝る3時間前までに済ませます。②次に水分の取り方です。朝、昼食はたっぷりと水分をとり、昼食のあとからは、ジュース、牛乳、お茶などの水分は控えめに、夕食後からはコップ1杯までにとどめます。③塩分の取り過ぎは、喉の渇きから水分の摂りすぎにつながりますし、塩分自体が尿量を増やしてしまいます。④夜中に無理にトイレに起こすことは寝ている時間に尿意を感じる習慣がつきにくいのでやめましょう。⑤寝ている間に冷えると、尿が作られる量が増し膀胱も過度に収縮してしまいます。⑥寝る前にはトイレに行きましょう。
生活改善をしても8~9割は改善しないので、薬やアラームなどの治療の出番になります。①抗利尿ホルモン(内服薬/点鼻薬)腎臓での水分の再吸収を促し、尿を減らす効果があります。尿量が多いタイプに効きます。②アラーム療法は膀胱に容量が少ないタイプに向いています。寝る前に下着に小さなセンサーを付け、おねしょの水分を検知すると枕元でブザーが鳴り起こすという訓練法です。おしっこの前でなく直後に本人が認識することを繰り返すことで膀胱にたまる量が増える効果があるそうです。装置は医療保険の適応外ですのでインターネットなどでも購入できますが、使用に当たっては医師の指導を受ける必要があります。③他に抗コリン剤で膀胱の緊張をとり尿をためやすくしたり、抗うつ剤が補助的に使われることもあります。
薬、アラームの成功率は75%とされていますが治療期間も個人差があるようです。薬はリバウンドがないように段々に量を減らしながら平均1年半くらいかかります。アラームは2週間連続でおねしょをしなくなるまで続けますので3~6カ月かかる事が多いです。
夜尿症の基本は、起こさない、焦らない、怒らない、ほめる、また子供本人の治す意欲が大事です。おねしょをすると、子ども自身も精神的に負担になりますし、親もイライラしてしまいますが、夜尿症は治療できる疾患です。夜尿症を病気と認識せずに悩みを抱えながらも病院にかからないケースも多くあるようです。小中学生の推定患者は全国で約78万人、このうち病院に足を運んでいるのは約12万人と統計されています。小学生になってもおねしょが続く様であれば思い切って受診してみましょう。日本夜尿症学会が治療のガイドラインを発行しており、受診先は小児科でも泌尿器科でも大丈夫です。

山田医院 看護師 盛田里穂

免疫力を高めてインフルエンザに注意しましょう

日本では毎年のようにインフルエンザが流行しています。そこでインフルエンザを予防するために免疫力をつける方法をご紹介いたします。
◆食生活に気を使い免疫力を上げよう
インフルエンザ及び風邪の肝心な対策は、まず自分の生活習慣を見直すことです。睡眠時間が短かったり、毎日三食バランスよく食べていない人はインフルエンザにかかる可能性があります。
◆免疫力を高める栄養素
◎タンパク質→タンパク質は免疫細胞を作る大切な成分でもあるのです。多く含まれている食べ物は、肉や魚の他に卵や乳製品、大豆が該当します。
◎ビタミンC→ビタミンCには免疫力や抵抗力を高める効果があり、インフルエンザを予防するためには欠かせない成分です。フルーツに含まれていることが多く、いちごやみかん、キウイフルーツなど、他にはほうれん草やブロッコリー、いも類にも含まれており、意識して野菜を食べることがビタミンCの摂取に繋がります。
◎ビタミンA→菌やウィルスの侵入を防ぐ役割があり、鼻や喉の粘膜を強くしてくれます。緑黄色野菜、カボチャや人参、ほうれん草に含まれています。
◎ビタミンB1→糖質をエネルギーに変える働きがあり、体の回復を助ける働きをしてくれます。ビタミンB1が多く含まれている有名な食べ物は豚肉で、他にうなぎや大豆なども多く含まれています。体力が弱っているときは免疫力が落ちているため、インフルエンザにかかりやすいです。睡眠時間は6時間以上確保する、適度な運動とバランスの取れた食生活で、これから訪れる寒い冬を乗り切ってまいりましょう。

山田医院 医療事務 杉山恭子

言い伝えについて考える

「寝る子は育つ・子は親を映す鏡」
睡眠不足は成長ホルモンの分泌が減少して肥満になりやすくまた、コーチゾルというストレスホルモンが分泌されるために高血圧、糖尿病などの生活習慣病の原因になると言われています。また睡眠自体がストレスの対処して健康を保つ1つになることから睡眠は大切です。睡眠不足の原因として現在はメデイアの利用が大きくなっています。長時間のメディアの利用はコミュニケーション能力の低下、体力、視力の低下に影響するために1日の合計メディア時間は2時間程度までとすべきです。なお、子どもの長時間のメディア利用を減らすには1「母親のネット時間を減らす」2「家庭内で約束を決める」3「父親のネット時間を減らす」ことが大切になっています。
「病気の時はお粥を食べる」
胃腸炎の指導として母乳は量、回数の制限はない。人工乳も希釈する必要ない。絶食せずに食事もそのまま継続する。となっています。以前から言われている上記の言い伝えについて考えると七分がゆ~全がゆの浸透圧は経口補水液ORSと浸透圧が同じ程度であり日本人にとっては回復食になると考えられています。全がゆは米100gに水500mlでつくり、塩は子ども茶碗1杯に食卓塩をひとふり程度です。なお梅干を加えるとクエン酸も摂取できてなおいいと思われます。
「銀杏(ぎんなん)は年の数以上に食べてはいけない」
古来から銀杏の大量摂取は痙攣や嘔吐など銀杏中毒を起こすことが知られています。これはビタミンB6欠乏の症状であることがわかりました。ビタミンB6は通常の食事をしていると欠乏症は希ですが抗菌剤の連用、偏食は欠乏症を起こす可能性があります。子供では7個以上、成人では40個以上で発症が多く疫学的には子ども特に10歳未満での報告が大多数です。いかなる調理法でも中毒は起こると言われており5歳以下の子どもには与えないほうがいいとされています。通常は摂食して6時間以内に嘔吐、痙攣、意識障害が起こります。痙攣は無熱性の強直間代性で10分から数時間の間隔で群発します。治療はビタミンB6の注射です。大人でもアルコールと銀杏の同時摂食は症状が出現しやすくなるので注意が必要になります。
今回はチャイルドヘルス2018年10月号から抜粋しました。

山田医院 医師 山田良宏