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山田医院だより

第19巻第10号(第225号)

食中毒について

食べ物などが腐りやすい夏場の暑い時期に食中毒は発生しやすいイメージがありますが食中毒の事件数自体は1年を通して変わらないかあるいは冬場の方が少し多い状況になっているようです。ただし、統計上にある食中毒は医師などから届出がある件数で実際には隠れた食中毒がたくさんあります。たとえば生サバなどに付着するアニサキスという寄生虫についても食中毒となり本来ならば診断後すぐに最寄りの保健所に報告義務がありますが日常的に行われていない医療機関もあると思われます。なお、食品とは飲み物、チューインガム、添加物なども含まれています。食中毒の原因物質としては細菌、ウイルス、寄生虫の他に化学物質、自然毒などもあります。件数は月別に大きな違いはありませんが患者数はノロウイルス事例が多くなる12-3月に多くなっています。死亡例を見ると細菌(多いのが腸管出血性大腸菌)が60%で自然毒(きのこなどの植物性がやや多い傾向)が35%となっています。食中毒発生の流れを見てみましょう。医師あるいは各種機関(警察、学校、市民、事業者など)からの届出が保健所にあると保健所の担当者はまず、患者さんからの聞き取り調査を行います。それと並行して食中毒の原因が疑われる施設について立ち入り調査を行います。そして患者さんからあるいは施設から検体を採取して衛生研究所等に搬入されて検査等を行い食中毒の原因を究明することになります。細菌あるいはウイルスによる食中毒の解説は多くの情報がありますので今回は魚介類、きのこを含む食物、ジビエなどによる食中毒について解説をしたいと思います。まず魚類による食中毒ですが、フグ毒と言われているテトロドトキシン、シガテラ毒、パリトキシンなどは食物連鎖により細菌が産生した毒素が蓄積したものであるために同じ個体でも部位によって、また地域によって、季節によって差があるようですが、これらの毒素は熱に安定であるために調理により毒性が変化しないために食中毒が起こります。フグ毒は神経の刺激伝導を停止するために運動、知覚、自律神経の全てが遮断され特に呼吸筋麻痺による呼吸停止が死因となります。食後数10分程度からまず口周囲のしびれから始まり、手先のしびれ、めまいなどが出現して適切な治療がなければ24時間以内に死亡します。特異的な治療はなく対症療法が中心となります。フグ中毒は「当たれば死ぬ鉄砲」とかけて「てっちり」「てっさ」と言われますが肝臓、卵巣、腸などの服用はさけてふぐ調理免許を持った人の調理が必要です。貝類による食中毒は麻痺性貝毒(麻痺症状を伴う)と下痢性貝毒(嘔吐、下痢症状を伴う)がありますが毒性は食物連鎖により毒化するために魚類と同様で個体差、地域差、季節差があります。きのこによる食中毒は年間100例程度あるようで9、10月に約9割を占めます。「色が地味なきのこは食べられる」「茎が縦に避けるきのこは食べられる」などは迷信です。一般には摂食後1時間以内に症状が出ます。消化器障害型、神経障害型、原形質毒性型に分類されます。それぞれ消化器症状、神経障害症状、強い毒性による多臓器不全が起こります。ワライタケなどは神経障害型のきのこで毒性成分はLSDと似た構造を持つ毒物です。マジックマッシュルーム位の俗称で社会問題となり2002年からは麻薬原料植物として規制されるようになりましたが山野に広く自生しているようです。食物として有名なのがスイセンです。スイセンの葉はニラとよく似ているようで誤食もあるようです。経口摂取後1時間以内に嘔吐、下痢が出現しますが大抵は1時間以内に改善します。その他、ハシリドコロがフキノトウと誤食されることがあります。成分のロート根は胃腸の鎮痙作用を持つために胃腸薬に配合されることがありますが誤食により走り回ることから名前の由来が来ています。なお、ジビエについてですが、ジビエと狩猟により食用として捕獲された野生鳥獣あるいはその肉のことでイノシシ、シカ、クマなどの哺乳類、カモ、キジなどの鳥類、その肉がこれに該当します。E型肝炎ウイルス、サルモネラ菌、寄生虫などが問題となっています。これらについては調理に際しては食肉中心部の温度が75度以上で1分以上の加熱異常に手洗い、包丁、まな板の扱い方も気をつけることが必要になります。今回説明した魚類、貝類、食物などの食中毒は今後自然食のブームの広がりに伴い増えていく可能性もあります。一般にはわからないものは食べないのが良いかもしれません。今回は日本医師会雑誌平成30年9月から抜粋しました。
山田医院 医師 山田良宏

10月は『ピンクリボン(乳がん啓発)月間』

 「乳がんで悲しむ人を一人でも減らしたい」との想いから、1980年代にアメリカで始まったピンクリボン運動。日本でも2000年頃から広がり始め、毎年10月を『ピンクリボン月間』とし、「乳がんの早期発見・早期治療」を啓発、推進する取組が、行政、市民団体、企業など全国で実施されています。
 近年、有名人による乳ガンの体験や告白によって乳ガンが身近な病として認知されてきました。でも日本の乳がん死亡率は下がってはいません。その一因に日本の乳がん検診受診率があまりにも低いことが挙げられています。
 今、日本人女性の11人に1人が乳がんにかかると言われています。乳がんになる人は、30歳代から増え、50歳代までの働き盛りの世代に多く、この年代の女性のがん死亡原因のトップになっています。すごく恐ろしい数字ですが、反面、早期に発見し適切な治療を行えば、約9割が良好な経過が期待できるガンと言われています。そして乳ガンは自分で発見できる数少ないガンです。つまりセルフチェックと乳ガン検診を積極的に受けることで最悪な事態と向き合わずに済む可能性が高いガンなのです。(セルフチェックの方法はネット上でたくさんのサイトが紹介しています)
 乳がんになる危険性は30歳代後半から40歳代にかけて急増しますが、どの年代にも発症の可能性はあります。「まだ若いから」「出産・授乳経験があるから」「もう閉経したから」といった理由で安心することはできません。特に●初潮が11歳以下●閉経が55歳以上●初産が30歳以上●出産していない●家族に乳がん経験者がいる・・などの方は乳がんのリスクが高くなる可能性があるようです。
 私は一昨年、大阪市の無料クーポンを利用して日曜に『マンモグラフィー検査』を受けました。受診の前、周りからすごく痛いよ~、などたくさんのマイナスイメージな話が聞こえてきて、検査に不安がいっぱいでした。でも実際に受けてみると、痛みは全くないとは言いませんが、想像していたよりは格段にマシで、身構えるほど恐ろしい検査ではありませんでした。
 ピンクリボン運動の一環として毎年10月の第3日曜日は『日曜日に乳がん検診を受けられる日』として全国でたくさんの病院・クリニックがそれに賛同し、日曜検診を実施しています。また大阪市でも年に数回夜間の検診を受けられる日がありますし、普段から土曜の午後や、日曜に検診時間を設けている医療機関もあります。平日は仕事だったり、子育てに追われたりと検診に時間をとるのが難しい方もそういった機会を利用して受診してみてはいかかでしょうか。
                                                   山田医院 医療事務 東川敏美

話題の風疹について

最近、風疹に罹った人が増えているとニュースなどで見たことはありませんか?
今年は昨年の10倍に増えているそうです。厚生労働省でも原因不明ということですが、ワクチン接種をしていない海外などで感染する可能性(2~3割は症状が出ない不顕性感染)も考えられているようです。
風疹は軽い風邪症状から始まり、発熱、淡紅色の発疹、頸部リンパ節の腫れなどの症状が現れます。発熱も発疹も2~3日で治まることから「三日はしか」とも呼ばれています。
くしゃみや咳などの飛沫感染で、潜伏期間は2~3週間です。一度かかれば免疫ができ、年小児のうちは心配することはりませんが、年長児や大人の場合は重症になることが多く、2~3日では治りにくくなります。特効薬はなく必要に応じて対症療法がおこなわれます。そのため、1歳を過ぎたらワクチン接種を受けることが推奨されています。1回の接種で95%、2回の接種で99%、抗体がつくといわれています。妊婦が妊娠初期(20週頃まで)に感染すると、先天性風疹症候群といって、赤ちゃんに白内障や緑内障、難聴、先天性心疾患、発達異常などが出ることがあります。
大阪市では今年度、『風疹の抗体が低く、①妊娠を希望する女性②妊娠を希望する女性の配偶者(妊婦の配偶者を含む)』の方を対象(対象外の条件あり)に風疹ワクチンの接種費用助成を実施しています。ただし、ワクチン接種を受けて2か月間は妊娠しないように注意が必要です。
さらに厚生労働省では来年度、30~50代の男性に無料で抗体検査(*)を受けられるよう方針を決めたそうです。

 *これまでの風疹ワクチン接種回数(2018.10.1現在)
 ・28歳6か月まで2回 ・28歳6か月~39歳6か月まで1回接種
 ・39歳6か月~56歳6か月の女性、集団で1回
 ・39歳6か月以上の男性、0回
                                                     山田医院 看護師 三栖佳子

肝臓病

肝臓は、体内で最も大きい臓器で予備能力に優れ、多少の障害があってもそれをカバーして自分の役割を支障なく果たします。肝臓は、病気になって肝細胞が少々壊れてもなかなかギブアップしません。そのため肝臓病に気づかず、自覚症状が現れて病院に受診したときには、肝臓病がかなり進行しているというケースがあります。このようなことを避けるために健康診断を受け、肝臓の異常を早期に発見し肝臓の状態をチェックすることが大切です。肝臓病の原因としては、ウイルス感染によるもの、アルコールの飲みすぎによるもの、薬の副作用によるもの、過栄養による肥満によるもの、自分の体の成分に対する抗体ができてしまう自己免疫性のものなどがあります。症状として全身の倦怠感、疲れやすい、微熱がでる、食欲不振、吐き気、脂っぽのものがたべられなくなる、急にお酒が飲めなくなった(飲みたくなくなった)、便の色が白っぽくなる、尿が濃い黄色(褐色)になる、黄疸が出る、手掌紅斑などがあります。
検査は、血液検査 20種類以上あり代表的なものにAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどがあります。ASTとAST、その値は肝臓の細胞の壊れ方が大きいほど高くなります。正常値は測り方や施設によって多少の差がありますが、ともに約40単位以下とされています。γ-GTP、アルコールや薬による肝障害、胆汁の流れが悪いときに増加します。超音波(エコー)検査 大きさ腫瘍や個数、腫瘍と血管の位置、腫瘍の広がり、肝臓の形や状態、腹水の有無などを調べます。CT検査、MR検査 X線を使って腫瘍の性質や分布、転移や周囲の臓器への広がりをしらべます。腫瘍マーカー AFP、PIVKA-Ⅱ、AFP-L3分画の検査でがんが潜んでいるめやすになります。必要があれば針生検などの検査などを追加して行います。予防としては、ストレスをため込まない(精神的なストレスによって自律神経が優位になって血中のアドレナリンが増加し、脈拍が乱れると交感神経が増加し脈拍が増え血圧が上昇します。その結果肝臓に負担がかかる)。規則正しい生活とバランスのとれた食生活(傷ついた肝細胞の再生にはたんぱく質が必要です。また、タンパク質にはウイルスに対する抵抗力を高める効果もあるとされています。)腹八分目(必要以上の栄養の取りすぎは、脂肪肝、糖尿病、動脈硬化などの原因になり肝臓に負担をかける)を心がけましょう。
                                                   山田医院 医療事務 阿知波真弓

年齢とともに上がる血圧に歯止めを !

 朝晩は涼しくなり、猛暑から解放されてホッとひと息ついている所ではないでしょうか? 快適な季節はそうは長く続きません。また厳しい寒さがやってきますね。そのような中で年齢を重ねると気になってくるのが血圧です。 高いとなぜいけないのか? 血圧を上げてしまう要因を知り上手な対処方法について考えてみました。
 血圧とは、血管の中をながれる血液が血管壁を押す力です。血圧を決定するのは、心臓から送り出される血液量(心拍出量)と血管の太さと硬さです。
血圧を高くする要因とは?
食習慣や老化による動脈硬化は、血管が狭く弾力を失う状態です。さらに高血圧は動脈硬化を進行させます。脂質過多の食生活は、血中コレステロールが血管壁に溜まって血管が狭くなります。例えば、若い時の血管は水道用のホースで、中年になるとガス管に、高齢になるとごぼうのようになり老化によって硬さが変化するそうです。塩分のとり過ぎは、血液中の塩分濃度を薄めようと血液量が増えます。また、塩分には血管を収縮させる作用があるそうです。
太っている人は血管が流れる面積も広く血液量も多くなります。脂肪が増えすぎると脂肪細胞から血圧を上昇させるホルモンが分泌されるため血圧が上昇しやすくなります。
その他、激しい運動やストレス(精神の緊張)で、心臓の鼓動が活発になると同時に血管が収縮して血圧を上げます。
また急激な寒暖差によって、一気に血管が収縮すると血圧が跳ね上がります。
冬の危ない生活シーンと対策
 今、血圧が正常値でも冬の暮らしは危険がいっぱいです。自覚症状がなく、ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞などを招いてしまうからです。冬は血圧が高めの人にとって特に血圧コントロールに気を配らなければならない季節です。
暖かな居間から寒いお風呂場や洗面所への移動の際には、お風呂場では浴槽のふたを開ける。温水シャワーを出して事前に温める工夫をする。洗面所にはミニヒーターなどの暖房器具の導入、しかしこの際には火災に注意する必要があります。トイレは家の中でも最も寒い場所、また強くいきんで排便すると血圧が上昇します。対策は一枚余分に羽織ってトイレに行く習慣、スムーズな排便のために便秘の予防と改善です。
 起床時は、暖かな布団から出た瞬間、部屋の冷気にさらされます。対策として暖房器具のタイマーなどを利用して事前に部屋を暖める。起きたらすぐに一枚羽織る習慣をつけることです。
血圧を健康的に保つために役立てたい栄養素には
 オレイン酸は、悪玉コレステロールを減らす。アボガド、オリーブ油、菜種油、ナッツ類にある。
 αリノレイン酸は、体内で合成できない必須脂肪酸、末梢の血流をよくして血圧を下げる。血中コレステロールの調節や血栓ができるのを防ぐのに働く。えゴマ油、しそ油などに、DHA,IPAは善玉コレステロールを増やして、悪玉コレステロールを減らす。血液サラサラにして、血栓ができるのを防ぎ、血管を拡張して血圧をさげる。青魚など、一年中で最も寒さが厳しくなる冬、暮らしの中で寒暖差が生まれない様に気をつけるとともに、食生活をはじめとした生活習慣を見直していくことが大切です。
                                                    山田医院 看護師 畑中幸子

小児の脂質異常症の治療について

今までは小児期には脂質異常症に対しては治療介入特に薬物治療については行われない傾向でした。そのために早期に脂質異常症を発見するという気運も乏しかったのが現状です。しかし、小児においても家族性高コレステロール血症(FH)の重症例やそれに伴う早発性冠動脈疾患が報告されるようになり小児期の脂質異常症に対する治療に対して関心が高くなってきました。一般には小児期には血液検査を含めた健康診断はなくまたわざわざ血液検査を行う機会はありませんでした。小児の脂質についての基準ができました。ほぼ成人と同様であり乳幼児においては母乳の影響でやや高値となりやすいのですがほぼ同じ基準となりました。(中性脂肪のみ成人より10mg/dl低く設定されています。)小児の脂質異常症で問題となるのが家族性高コレステロール血症でこれはLDL-CHOが非常に高値となるために小児期からの適切な対応が必要となります。このFHでは動脈硬化の進展は早く動脈硬化は10歳前から始まり12歳では有意となり一般には正常児の5倍以上早いといわれています。冠動脈硬化による冠疾患の予防のためには積極的な治療が必要であり通常は10歳から薬物療法も開始されます。特に肥満があり糖尿病の合併があると治療は厳しくなります。一般には小児期から食事を含めた正しい生活習慣を身に着けて適正な体重維持が必要になります。脂肪の摂食を控えて昔ながらの日本食パターンでの生活が大切です。なお受動喫煙による冠動脈硬化もあるために保護者の禁煙も大切になります。家族に高コレステロール高値の方がいる、若くして冠動脈疾患になった方がいる等の人については子どもにおいても血液検査でコレステロール値を検査、まずは体重管理をはじめとした生活療法から始めることが大切になります。今回は日本医師会雑誌平成30年9月号から抜粋しました。
                                                      山田医院 医師 山田良宏