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山田医院だより

第19巻第8号(第223号)

慢性便秘治療について

 日本においての便秘の有病率は2 -5%程度で男性(2.5%)よりも女性(4.6%)に多い傾向で加齢により有病率は増加し、若年層では女性に多く、高齢になるに従い男性の比率が増加し80歳以上では男女 比はほぼ1:1となります。尚、高齢者施設入所者では50%程度の有病率と報告されています。一包 欧米においての有病率はおよそ15%で男女比は1:2で日本と同様に加齢に伴い有病率は増加します。非白人、低収入、施設入所者に有病率が高く、一方で教育年数が長い、社会的経済的地位の高い人では有病率が低いと報告されており、また便秘女性の姉妹、娘、母親における有病率は高くなっており慢性便秘症では他の機能性消化器疾患である過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアなどの併存も多くなっています。尚慢性便秘者では健常者と比較するとQOLは低下しており、また社会的労働生産性の低下も報告されています。なお抑欝或いは身体化症状、不安などを認めることも多くなっています。生活習慣については食物繊維の摂取不足、水分摂取不足、活動性の低下が要因となります。また朝食の欠食、ダイエット、昼食摂取量が少ないと便秘になりやすく咀嚼回数が多く、男性では1日に1500mL以上の水分摂取で快便傾向になります。なお、1日1時間のジョギングは 排便を促しウオーキングやランニングは大腸頚窩時間を短縮させますが運動と便秘については関係がないとの報告もあります。なお便秘では不眠者が多くなっています。なお、慢性便秘の合併症としては尿閉、下肢静脈瘤などがあり、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経疾患の罹患率も高くなっています。其の他に心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患の併発頻度も高くなっています。 便秘の概念は個人によりとらえ方が様々でありますが「本来体外に排出するべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とガイドラインでは提唱されています。診断基準も排便の1/4以上において強くいき噎、兎糞上の便塊がでる、残便感を感じる、直腸に閉塞感を感じる、手で掻き出すことが必要であるなどの項目があります。単純な便秘ではなく裏に病気が隠されていることもあります。電解質の異常(Ca,Kなど)、糖尿病、甲状腺機能低下症から大腸癌などについては注意が必要です。便秘の症状としては排便回数の減少によるもの(腹痛、腹部膨満感など)、硬便によるもの (肛門痛、排便困難、過度の怒責など)、便排出障害によるもの(残便による頻便、過度の怒責な ど)があります。治療薬としては日本においては刺激性下剤のセンナ、センノシドなどと浸透圧性 下剤であるマグネシウム製剤が長年使われてきました。センナ、センノシド、大黄などの生薬系下剤の長期使用では大腸粘膜が黒色化して大腸黒皮症の原因となります。大腸黒皮症では腺腫あるいは癌が高頻度で乱されることもあり注意が必要となります。なお、漢方薬に含まれる大黄は早流産の危険があるために妊婦には禁忌となりまたその他甘草が含まれる漢方薬は血圧高値、低K血症を起こすことがあり注意が必要です。尚マグネシウム製剤は腸内での水分泌を引き起こすことで便回数を増加させる浸透圧性下剤ですが腎機能低下の人においては高マグネシウム血症を起こす可能性があるために高齢者(腎機能が悪い人が多い)では注意が必要で、時々血液検査での血中Mgのチェックあるいは症状(嘔吐、徐脈、筋力低下、傾眠など)が起こる場合には服薬の中止が必要になります。諸外国では現在はPEG製剤(polyethylene glycol 3350 electrolyte)、ルビプロストン(アミティーザ)、リナクロチド(リンゼス)のエビデンスが高く使用も進められています。日本においてはまだPEG製剤は発売されていません。最近発売された胆汁酸トランスポーター阻害薬である エロビキシバット(グーフィス)は胆汁酸の作用を利用した薬剤で人間がそもそも持っている内因 性の緩下剤である胆汁酸を補うことであり理にかなっている薬剤と考えられています。現在の便秘治療はマグネシウム製剤をベースにセンナなどの刺激剤を加えることが中心となっていますが今後はPEG製剤をベースにグーフィスを加える治療に変わる可能性もあります。ただ、マグネシウム製剤とセンナ系下剤は安価なのでどこまで変わるかは不明ですが、、、。最後に高齢者においての慢性便秘治療ですが、高齢者では大腸蠕動運動の低下に加えて便意の低下のために便秘症状が悪化、 また直腸貯留能の低下のために下痢になりやすく容易に便失禁をすることがあります。すなわち、若年者に比べると高齢者では大腸蠕動運動の低下により緩下剤は効きにくい一方で治療薬で下痢をしやすい面があります。一度便失禁をすると患者さんは2度と治療を受ける気がしなくなるために注意が必要になります。便秘の治療は一般診療においてきわめて多いものですが一筋縄にはいかないことも多くあります。今回は日本醫亊新報平成30年8月4日号から抜粋しました。
                                                                                       山田医院 医師 山田良宏

大人のリンゴ病

 リンゴ病(伝染性紅斑)とは春から秋にかけて流行する感染症です。原因はヒトパルボウィルスB19というウィルスで頬が真っ赤になることで診断がつきます。頬が赤くなる7~10日前に風邪の症状(発熱、倦怠 感、咳、鼻水、吐き気、下痢、関節痛など)があることが多くその時には感染しますが頬が真っ赤になった時にはすでに感染しません。多くは幼児期から学童期の子供に多い病気で子どものリンゴ病は比較的軽 症で重症化しません。
しかし大人がかかった場合関節炎やむくみ、頭痛がひどくなることがあります。発疹は頬に出ることはまれで、出たとしても手足がメインです。特徴的な頬部紅斑が出ないためしばしば風疹などと誤診されることがあります。発疹が出る期間は1日~5日間ほどです。発疹は手足の外側を中心に網状、レース状紅斑が続き、近位から遠位へ拡大します。足の裏や手のひらには出ません。発疹は必ずしも網状、レース状紅斑が出るわけではなく蕁麻疹のような丘疹、紅斑、紫斑、点状出血など人によって様々です。はしかや水ぼうそうに似た発疹、強いかゆみを伴うこともあります。一旦発疹が消えても気温変化、日光、運動、精神的ストレスなどの刺激で再発することもあります。リンゴ病による関節痛は子供では10%未満ですが大人では60~80%と高頻度で発症します。特に女性は男性の2倍多いといわれています。痛みには個人差がありますが歩行困難をきたす場合も少なくありません。むくみも子供より大人のほうが80%と高頻度で四肢 (特に指先、足首、足底)がむくみます。また妊婦さんがリンゴ病に感染した場合、胎児水腫になる可能 性があります。不顕性感染(感染していても症状が出ない状態)であっても胎内感染は起こるため注意が必要です。
リンゴ病には通常治療薬はなくリンゴ病と診断されたときにはすでに通常感染力はありません。感染力の ある時期は発疹の出る1~2週間前の微熱、倦怠感などの風邪のような症状が起きているときのためリンゴ病の早期診断は困難です。リンゴ病の感染経路は唾液や痰などを介した飛沫感染と接触感染が中心です。日ごろから手洗いうがいの励行、咳エチケットが大事です。
リンゴ病に限らず風邪のような症状がある場合、基本的に何かしらの病原体に感染していと考えられます。常に人に感染させる可能性があると考えて行動することが大切です。特に夏はリンゴ病のほかにもヘルパンギーナ、手足口病、アデノウィルス感染症(プール熱、流行性結膜炎など)、とびひなど流行しやすい季節です。普段から病気をうつさない、もらわないよう心掛けたいものですね。
                                                                                         
山田医院 看護師 中島早苗

甘い物が止めれない砂糖依存症

今日は疲れた、イライラする、口が寂しいから何か食べたい、、、そんな時ふと甘い物に手が出ることは皆さんよくありますよね。スイーツを食べた時の幸福感たるや堪りませんが、摂りすぎは良くないと分かっていてもつい甘い物を毎日食べてしまう人は、砂糖依存症に陥っている可能性があります。そもそも砂糖にはアルコールやコカインと同様中毒性が高く神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンの放出を促し私達に幸福感をもたらします。しかしこの感覚は長くは続かないのでまた甘い物に手を出すという悪循環に嵌まり、やがてはそれを断つと禁断症状がでるという怖い病気です。御菓子は普段気をつけていても、砂糖はスイーツや清涼飲料水などに留まらず、ケチャップやパスタソースといった加工食品 にも多く含まれているので、知らない内に摂りすぎて砂糖依存症になっていたという可能性はあります。砂糖を過剰に摂取することで糖尿病になるリスクが高まるのは当然として、他にも集中力がない・無気力・脳が働かないといった症状の低血糖症、ビタミンB群カルシウム不足からくる症状としてうつ病や冷え性、骨粗しょう症にかかるリスクも高くなります。また老化を進行させる「糖化」(体の中で糖が蓄積された状態)になり肌のハリを支えるコラーゲンが破壊されてシワやたるみができたり湿疹などの肌荒れがおこりやすくなります。このように様々な弊害がおこる砂糖依存症ですが、甘い物を摂るのを止めよう!と 思ってもすぐに止めれないのがこの病の怖い所です。甘い物をいきなり断つのは難しいので例えば今使っている白砂糖を黒糖や蜂蜜といった天然の甘味料に置き換えてみる、これだけでも摂取量はぐっと減らすことができます。甘い物を摂りすぎているかも?と思い当たる人は身の回りに甘い物を置かないようにするなど、普段から砂糖の量を控えるように意識を改めてみましょう。特に夏は炭酸飲料やらアイスやらいつもより食べたくなるので、過剰に摂取しすぎないように気をつけたいものです。甘い物もほどほどに。     

山田医院 医療事務 川村理恵

電子タバコは身体に害を及ぼさない?

「電子タバコ」が流行しているのを知っていますか?爆発的に売れ、現在、品薄状態にあるといわれていま す。そもそも、電子タバコとは、どんなものなのでしょう。通常のたばこと比較してみていきましょう。
・通常のたばこ…火をつけてたばこという植物の葉を燃やした煙を吸う。たばこの煙の中には4000種類の 化学物質が含まれ、その中には200種類以上の有害物質や50種類以上の発ガン性物質が含まれます。その中でも依存性が強いニコチンにより、なかなかやめられない人が多くいます。また、問題なのは、副流煙による健康被害で、主流煙に比べ副流煙の方が2~3倍の有害物質が含まれています。
・電子タバコ…大きく2種類に分けられ、タバコの葉(や、その成分)を充電式の道具に装着して加熱し吸うものと、道具の中に入っている液体を電気で加熱し気体にしたものを吸うものがあります。火を使わない代わりに充電が必要で、タールは含まれていませんが、ニコチンが含まれているものもあるそうです。電子タバコは、少ない原材料を蒸気化させているため、たくさんの毒性の化学物質を生み出すたばこと比較すると 比較的安全なはず…
 ある雑誌で発表された研究によると、2009年~2014年までの間イギリスにおけるたばこの喫煙者約6000人を対象に調査をしたところ、電子タバコを使用した人の方が、薬局で買えるパッチ・ガムを使った人や、何も使わなかった人より禁煙できたことがわかりました。しかし、2013年にアメリカで3000人程を対象とし似たような研究を行ったところ、電子タバコの使用者の禁煙率が低いという結果がでたそうです。
一部では、喫煙者が禁煙を思い立った時の第一歩としての電子タバコは有用である可能性が高いと考えられていますが、電子タバコが普通のたばこより安全かどうかはいまだ不明なところが多いようで、たばこより毒性が少ないという説もありますが、信頼に足るデーターはないようです。また、喫煙は、癌や心筋梗塞などの原因になる事は明らかですが、電子タバコではどうなのか?これについては、発売されてまだ日が浅いため、これらの病気のリスクが減るかどうかは不明で、これをはっきりさせようとすると数年間、数千人規模の試験をしなければならないようです。
電子タバコの科学的分野について不明なところがまだたくさんあり、現段階では、電子タバコがどれくらい安全かどうかはわからないそうですが、それでも、いくつかの研究が行われていて、電子タバコの影響について解明しようと取り組まれているそうです。                                                                                                                                            山田医院 看護師 川上 啓

扇風機を工夫して効率的に室温を下げましょう!

まだまだ暑い日が続いておりますが、体調を崩されておられませんでしょうか?クーラーは室温が高ければ高いほど冷却する為のエネルギーを必要とするため使用電力が高くなってしまいます。そこで扇風機を使って効率的に室温を下げる方法についてご紹介したいと思います。夏の日のお部屋がなぜムスッとした空気で暑いのか、3つの理由が挙げられます。1つは室温が高いこと、2つ目は日本の夏の気 候は湿気が高いこと。湿気が高いとジメジメするせいで、体感温度を高めてしまうのです。3つ目は空気の流れがないことです。3つ目の原因があることで、1つ目、2つ目の暑さの原因を払拭しにくい状況を生み出すのです。そこで役に立つのが扇風機なのです。帰宅したら、窓を閉め切ったまま、すぐにクーラーをONにしていませんか? その場合、部屋の熱い空気をクーラーがそのまま取り込み、冷却するエネルギーをたくさん必要とするのです。帰宅後にしていただきたいのは、まず空気の流れを作ることです。お部屋の窓を5分ほど開け、扇風機を窓の外に向けて風の通り道を作りましょう。そうすることで、室内の淀んだ空気を入れ替えることができるのです。その後は窓を閉めて、冷房が部屋の外に逃げないようにしましょう。次は冷房の効果をお部屋全体に広げるため、扇風機を使用しましょう。クーラーから出てくる冷たい冷気は、床、足元に溜まりやすのはご存じですか?扇風機を天井に向かって使用することで、足元に溜まった冷気をお部屋全体に広げ、冷房の効きをよくすることができます。暑い夏はまだまだ続きます。快適なお部屋で暑い夏を乗り切りましょう!

山田医院 医療事務 杉山恭子

赤ちゃんの視覚、聴覚について

生まれたての赤ちゃんの視力は0.01-0.02程度で、それが生後半年までに0.2くらいに発達します。またただ目が見え ているだけではなく見たものをしっかりと識別して理解している事も分かっています。例えば基本的な顔の認識の能力は生まれて数日程度で備わっていることも分かってきました。奥行きを見て取る能力(奥行視)自体は少なくとも生後4か月前後から発達します。これによりおおむね生後5か月前後で赤ちゃんは目の前の物をかなり正確に手を伸ば して触ったり掴んだりするようにします。基本的に視力は生後6か月までに劇的に進みますが、赤ちゃんはコントラ ストのはっきりとしたものでないとよく見えず、色の好みも赤や青とコントラストのはっきりとしたものになりま す。逆に言うと大人の目線で選ぶ茶色、ベージュ、ピンクなどは赤ちゃんには好まれません。これは年長の本で多く見られるような優しいパステルカラーの色味で輪郭のはっきりとしないクレヨン画で描かれた絵本は赤ちゃんには見えない可能性があります。コントラストがはっきりとした大人からすると単調に見える黒と白だけで描かれたものやはっきりとした色合いで描かれた絵本がお勧めになります。「しろとくろ」「カラフル」「うちゅうじんのたまご」は赤ちゃん向けの本と言えます。聴力については胎児期には完成し、生まれる1か月前には母親の腹壁を通して外部の音も聞こえています。このように初期から完成している聴力、そして音楽的な特徴を伴う音声への嗜好の高さは言語習得や療育者との愛着形成にとって重要な役割を果たしています。乳児はごく初期からメロディやリズムの違いに気がつき、好みは発達に伴って変化します。生後56か月前では変化の少ない、静的なものを、その後では変化に富んだ道的なものを好むようになります。子どもに対しては基本的にはなるべく静かで美しい音楽を聞かせる方が好ましいく月齢を重ねるにつれて好奇心をくすぐるような音楽を探索するのがいいかもしれません。ただ妊娠したからと言ってすぐに聞く音楽を変えることは不要で、好きな音楽を聴きながら過ごす方が子供の発達にはよいと考えられています。赤ちゃんの視力並びに聴力の発達についての研究は進んでおりそれに対する教育等もいろいろと考えられていますが昔ながらの方法は概して正しいことも分かっています。
                                     
山田医院 医師 山田良宏