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山田医院だより

第19巻第4号(第219号)

性感染症について

以前は花柳病(かりゅうびょう)、性病、一時期は性行為感染症といわれていたものの最近は性感染症という言葉が一般化してきました。感染症新法においては梅毒ならびにHIV感染症/AIDSは全数把握疾患として、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、淋菌感染症は定点把握疾患として分類されています。

私が学生の頃は性病予防法があり、性病といえば梅毒、軟性下疳、淋病、性病性リンパ肉芽腫症の4種類であり国家試験のヤマの1つではありましたが、その後医師となり性行為感染症という言葉を使っていました。今回は性感染症の話題を日本医師会雑誌平成30年3月号から抜粋しました。性感染症は上記6疾患をはじめとして性行為並びにそれに類した行為により伝播する20種類前後の感染症があります。発生動向は梅毒、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスは増加傾向で淋菌感染症、尖圭コンジローマは横ばい状態となっています。

梅毒は一時期「幽霊病」と言われるほど減少していましたが、近年急増しており特に女性の増加が著明であり、またそれに伴い先天梅毒も増えています。地域別では東京都、大阪府、愛知県などの都市部で多くまた感染経路としてはMSM(男性と性行為を持つ男性)のような特別のコミュニティや風俗営業など特定の感染源から一般社会における男女間の感染にシフトしてきています。梅毒は「偽装の達人」と言われる疾患で病状が変化していくために診断が難しくなります。まず、性行為等をして感染してから3週間ほどして(1期梅毒)から性行為局所(陰茎など)にナンコツのようなしこり(初期硬結)ができしばらくすると盛り上がりジクジクとします(硬性下疳)が痛みなどの症状はありません。

それに伴い、周囲のリンパ節が固く示指頭大に数個腫れるモノの2-3週間で次第に消失。約3ヶ月後に(2期梅毒)全身の皮膚並びに粘膜疹が出現します。多彩な湿疹でありバラ疹、丘疹性梅毒疹、扁平コンジローマなど、ありとあらゆるところにできます。手のひら、足の裏にできるのも特徴で手足の観察が必要です。感染して3年ほどすると第3期梅毒に移行します。皮下にゴム腫あるいは比較的大きな結節が出現しますが、抗菌剤を使用する現在ではこの3期梅毒は極めて珍しい状況のようです。なお10年以上の経過で第4期梅毒となり心血管病変、神経系病変など全身に病変を作るようになります。

なお、この1期から4期のいずれにおいても神経梅毒という神経病変をきたすこともあります。先天梅毒は梅毒に罹患している母体から出生した児で肝臓肥大、黄疸、低出生体重、眼疾患を伴うもので予後はよくありません。なお、梅毒血清反応とHIV検査は公費で助成されているために妊娠初期の初診時に母子手帳をもらった時にこの検査を受けることになっています。なお、尿道炎は男性においては約1/3が淋菌によるもので約1/3がクラミジア菌によるもので残りの半分がマイコプラズマジェニタリウム感染によるものです。

淋菌感染症は男性に圧倒的に多い疾患です。男性の場合には黄白色から黄緑色の膿性尿道分泌物と強い排尿痛がある一方、女性ではほとんど症状がないことも多くなっています。性器淋菌感染症の方の10-30%においては咽頭部淋菌感染症も認めます。なお淋菌感染症の20-30%にはクラミジア感染症の合併があります。セフトリアキソンという点滴で行う抗菌剤がほぼ100%の効果を示すと考えられています。

一方、性器クラミジア感染症は男性では淋菌ほど症状は強くないものの軽度の排尿痛、比較的さらさらとした尿道分泌物があり、時々精巣上体炎を伴うことがあります。これは陰嚢部の痛み、発熱などを伴い場合によっては入院となることもあります。なお女性においては圧倒的に症状がないことが多いのですが一部にクラミジア菌が上行して卵管炎、骨盤内炎症性疾患を起こすことがあります。また一番の問題としては卵管の閉塞など不妊症の原因となることがあります。淋菌にせよクラミジアにせよ繰り返して感染するためにピンポン感染の危険も高く予防のためには症状がなくてもパートナーの検査並びに治療が大切になります。

なお、コンドームの使用は避妊だけが目的ではなく淋菌、クラミジア、HIVなどを含めた性感染症の予防になります。マイコプラズマ肺炎の原因菌と同族であるマイコプラズマジェニタリウムは淋菌、クラミジアについで多い尿道炎の原因菌となっています。性感染症といえば性器だけの病気を考えますが性行為の多様化から口腔、咽頭、肛門、場合によっては分泌物の付着により眼にも病変が生じることがあります。特に口腔内においては難治性であったり、逆に症状がないこともありますが菌が継続して存在すると感染源になるために注意が必要であると考えています。

現在は性活動の若年化はほぼ安定していると言われていますが、学校においての性教育はまだまだ遅れている状況で今後は小中学校においての性教育なども重要になってきています。

山田医院 医師 山田良宏

血液のがん

今回は血液のがんについて調べてみました。血液のがんは、健康な血液がつくられなくなり、血液中の血球ががん化することで起こる病気です。血液のがんのおもなものは、悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄種です。

症状 ・粘膜から血がでやすく、鼻血が出たり、歯磨きで血が出るようになる・正常な血液がすくなくなって、めまい、顔色が青くなるなど貧血の症状が起こる・体重が減ったり、逆にむくんだようになってじりじりと増える・以前と同じ生活を送っていてもすぐ疲れを感じる。長引く熱や寝汗が多い・リンパ節が大きく張れ手体の外からふれることができる・首のつけ根、わきの下、足の付け根が多い。

原因 遺伝子や染色体の異常は、いくつか見つかっていますが、なぜこのような異常が起こるかはまだわかっていません。検査 診察では、腫れているリンパ節を触って調べるほか、口の中などのリンパ組織の視診も行われる血液検査 血液細胞の数や状態、ALP、LDHの値からは、体内にあるがん細胞の推測をするX線撮影検査、頸部や胸部、腹部、骨盤内のCT検査など 腹部や胸部のリンパ節が腫れていないかを調べます。CT検査で全身のリンパ節の状態などもわかりますリンパ節生検、骨髄検査 腫れているリンパ節がある場合には、それを切除して詳しく調べ病気のタイプを確定します。

まだ、病気の細胞が骨髄の中まで及んでいるかを調べるには、骨髄検査が欠かせません。予防 ・非常に強い放射線を浴びない。X線を使った検査を受けるとがんの原因になるかと心配する人もいますが検査で使うX線はごく弱く、多くは問題ありません・禁煙をする。タバコには多くの有害物質が含まれ、肺だけでなく全身に悪影響をおよぼす・食事、間食が多い、野菜が不足、高脂肪、高エネルギーなど偏った食生活をさけるなどのようです。血液検査をうまく利用して早い段階で発見するようにしたいですね。

山田医院 医療事務 阿知波真弓

悩みすぎていませんか?

全般性不安障害(GAD)という言葉を聞いたことありますか?以前は、不安神経症と呼ばれていました。不安とは、「気がかりな状態。安心できないさま」の事をいいますが、それは誰もが感じるもので、不安を感じるからといって、日常に支障をきたすことはあまりありません。ですが、誰もが感じる程度をはるかに超える不安を持ち、それがもとで日常生活に支障をきたしてしまう「不安障害」という病気があります。パニック症、GAD、恐怖症、脅迫症、ストレス障害といった病気もそうです。

その中でも、今回は、全般性不安障害(GAD)についてお話ししていきます。GADとは、「特定の状況の限定されない、理由の定まらない不安や心配」が長期間続き、日常生活に支障をきたしてしまう「不安障害」の1つです。GADの患者さんが訴える症状には様々なものがあり、不安と、心配を過剰に持つことがいかに「心や身体」に悪影響を与えるかがわかります。

<身体症状>・頭痛、頭重、頭の圧迫感や緊張感、しびれ感 ・そわそわ感 ・もうろうとする感じ・眩暈感、頭が揺れる感じ、船酔いしてる感じ ・自分の身体ではないような感じ・身体の悪寒や熱感、手足の冷えや熱感 ・全身に脈拍を感じる ・便秘、頻尿など

<精神症状>・注意散漫な感じ ・記憶量が悪くなる感じ ・根気がなく疲れやすい・イライラして怒りっぽい ・些細なことが気になり、とりこし苦労が多い悲観的になり、人に会うのが煩わしい ・寝つきが悪く、途中で目が覚めやすいなどGADの患者さんが持つ不安や心配の原因は、ある特定のことに限定されるわけではなく、「家庭生活」「仕事」「学校」「近所づきあい」などあらゆるものが対象になります。

そして、自分ではどうにもならない事柄についても深刻に悩み、不安や心配をコントロールできなくなり、「心や身体」の調子が悪くなり、日常生活に支障をきたしています。不安を専門に診ているクリニックの調査によれば、患者さんの30%程度がGADと診断されており、患者さんがかなり多くいる病気であることがわかります。また、患者さんの男女比は1:2で女性に多い病気であり、20歳前後で発症することが多いといわれています。最近では、心身の調子を崩してしまう人が増えてきており、社会的に問題になっているというのが現状です。この機会に、ご自身の「心の健康」というものを振り返ってみませんか!(^^)!

山田医院 看護師 川上 啓

体内時計と生活習慣病

不眠は食生活の乱れや運動不足と同様に生活習慣病を引き起こす要因の一つです。その不眠の原因の一つには「体内時計の乱れ」があります。人間の身体には一日周期でリズムをきざむ「体内時計」が備わっており「朝は太陽の動きに合わせて起き、昼は活動的に過ごし、夜には眠る」という生活のリズムをつくることにより身体の健康を維持しています。その体内時計が乱れるとカラダの中の生体リズムも乱れるため、睡眠だけでなく血圧をはじめ様々なホルモンや神経の調節に悪影響を及ぼすと考えられています。

体内時計の乱れは肥満に影響し、睡眠の質が低下すると食欲を増進させるホルモンの分泌が高まり、反対に食欲を抑えるホルモンの分泌が低下して食欲を増加させ肥満になりやすくなります。体内時計が乱れることで睡眠時間が不足したり睡眠の質が下がったりするとストレスを感じ自律神経(交感神経と副交感神経)の切り替えがうまくいかず血圧の調節ができなくなり高血圧になりやすくまた高血圧を悪化させます。

体内時計の乱れは糖尿病にも影響し、睡眠不足は血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量が減少したり、分泌されても反応しにくくなり、血糖値が上がりやすくなります。そのため糖尿病になりやすくまた糖尿病を悪化させます。生活習慣病の予防や悪化防止のためには食事や運動だけでなく体内時計を整えてより良い睡眠をとることが大切です。

体内時計を整えるためには①朝起きたらカーテンを開け日光を取り入れ体内時計をリセットしましょう。②休日の日でも起床時間は平日と2時間以上ずれないようにしましょう。③一日の活動は朝食から始めましょう。忙しい朝も朝食はちゃんと取りましょう。④昼寝をするなら午後3時までに20~30分以内にしましょう。⑤日中はしっかり活動し軽い運動習慣を身につけましょう。⑥お茶やコーヒーは就寝4時間前までにしましょう。⑦就寝2時間前までに食事は済ませましょう。⑧タバコは就寝1時間前にはやめましょう。(健康のためには禁煙が原則ですが)⑨就寝1~2時間前にぬるめのお風呂に入りましょう。⑩就寝時の照明は明るすぎないようにしましょう。⑪寝酒、深酒はやめましょう。⑫就寝前のパソコン、テレビ、ゲームはやめましょう。

生活習慣病の予防や悪化防止に限らず新年度に入り生活のリズムが不規則になってしまった方も体内時計を整えるよう心がけてみてはいかがでしょうか。

山田医院看護師 中島早苗

口臭の悩み~ニオイの原因は何?~

自分の口臭、気になる時ありませんか?口臭には「においどき」があります。朝の起き抜け、空腹時、そして緊張したときです。共通するのは唾液の分泌が少ないこと。唾液に含まれるリゾチームという酵素には殺菌力があり、ニオイをつくる雑菌の繁殖を抑えてくれます。生き残った細菌も食べ物の残りかすと一緒になって、唾液の中に溶け込みます。あとはゴックンと飲み込まれて胃に落ちれば、胃液の強い酸性で細菌はほとんど死んでしまいます。つまり唾液のおかげで、本来は口の中の強いニオイがある程度抑えられているのです。

ところが、起きたてや空腹のとき、緊張したときには唾液の分泌が減少して、口臭の原因となるのです。もうひとつの大きな原因は、舌の上に生えるコケのような白いものです。『舌苔(ぜったい)』と言って、口の中で剥がれた粘膜の上皮細胞や血液から遊離した組織、食べ物の残りかすなどが舌の上に付着したものです。舌苔には雑菌がすみやすく、それ自体がニオイの元となります。この舌苔は、胃腸の弱ったときや熱のあるとき、また前述のように唾液が減少したときに増えやすく、健康のバロメーターでもあります。

これらは、誰でもおこりうる「生理的口臭」です。他に病気が原因でおこる「病的口臭」もあります。病的口臭には、口腔内が原因のものと、内臓器官の病気に起因するものがあります。口の中の病気で最も多いのは、虫歯と歯周病です。虫歯になると、たんぱく質を分解する酵素を出す細菌が歯の中にすみつき、硫化水素やメチルメルカプタンなどの特有のニオイを発生させます。特に歯茎の下の歯根部まで侵されてしまうと、より強い硫黄のような悪臭を常時放つようになります。

歯周病のときもニオイは強くなります。歯周病になると、歯と歯茎の間に歯垢がたまりやすく、そこに細菌がすみつきニオイを出します。症状が進んで出血しやすくなると、腐敗した血液も魚の血合いのようなニオイの原因となります。次に、内臓疾患が原因で発生する場合です。タマゴの腐ったようなニオイがするときは、胃腸の病気が疑われます。食べ物が腸内で異常発酵をおこし、これらのニオイ成分が血管を通って肺に送られ、呼気とともに出てくるのです。

胃腸の中のニオイが逆流し、口から出ることもあると言われています。アンモニア臭やかび臭い口臭は、肝臓や腎臓に問題があることもあります。糖尿病によって体内にケトン体という物質が増えると、甘酸っぱい、果物が腐ったようなニオイになります。肺の病気のときには生臭いニオイ、 蓄膿症のときには肉の腐ったニオイ、トリメチルアミン尿症(魚臭症候群)という病気のときには魚の腐ったニオイがします。また、がんのときには、人間の鼻では嗅げないようなニオイを、訓練された犬や「線虫」という虫が嗅ぐことができることが分かっていて、がんの特定や早期発見への応用が期待されています。

口臭に気づいたら、それは病気のシグナルかもしれません。ニオイの強さの変化が、病気のバロメーターになることもありますから、あなたや家族の健康に関する貴重な情報なのです。

山田医院 医療事務 東川敏美

離乳食について

母乳または育児ミルク等の乳汁栄養から幼児食に移行する過程が離乳です。4-5か月頃になるとよだれが多くなり「食」への本能的興味を持つようになりますがこの時期を経て離乳食の開始は5-6か月が妥当です。この時期になると必要エネルギーが母乳だけでは足らなくなり、また座位保持が可能となり挺舌反射(口に入れたものを舌で押し出す反射)も無くなり固形物摂取の準備が整います。

また最近は離乳食の開始が早くても遅くてもアレルギーが増えると言われており5-6か月での開始が妥当です。離乳食の開始は個々に合わせて進めていくことが大切で画一的にはならないように注意が必要ですが、一般には7か月で2回食、9か月で3回食が標準です。開始の頃は午前中が適していて、2回食は午後から夕方とします。日本ではお粥から始めることが通常ですが諸外国ではシチューの野菜など様々な食材から始めています。母乳は離乳食の回数が増えても減らす必要はありませんが人工乳は徐々に減らしていきます。

なお、3大アレルギーと言われている小麦、鶏卵、乳製品は1種類ずつ、少量から増やして最低3日間は続けます。なお、8か月頃になると興味関心の幅が広がるために食事中に遊び始めることも多くなります。基本的には食事は食卓で座って食べるものという習慣をつけることが大切で、また途中で動き回るときにはごちそう様のあいさつを一緒にしてその後で食事を片付けてしまいます。

なおその際に子どもが食卓を離れている状態では食事を片付けず、きっちりとごちそう様をしてから片づけることです。なおその後は次の食事あるいはおやつまでは食べ物を与えないことが大切でおやつの分量もいつもと同じようにします。9か月頃から3回食となりますがその頃からはできたら大人と食事を一緒に取ることも大切です。食事時間は心と心の触れ合う楽しい時間ということが理解できるようになります。

10か月頃からは手づかみでの食事が多くなりますが3歳頃までは手づかみ、フォーク、スプーンなどを使用しての食事がほとんどなので心配はありません。5歳頃に箸が使えないような場合にはブロック、折り紙、はさみを使用するなど手を使った遊びを多くすることも必要です。遊び食べは手づかみ食べと同時に起こりやすいのですが集中させるためにはいろいろな大きさや硬さのある食材を用意して30分をめどに片付けることです。

山田医院 医師 山田良宏