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山田医院だより

第13巻第6号(第149号)

認知症について

脳出血等の脳血管疾患が多い日本においては欧米とは異なりアルツハイマー病よりも脳血管性認知症が多いといわれていましたが最近では欧米同様にアルツハイマー病が多いことがわかってきました。認知症の患者さんは高齢者の10%以上といわれており以前よりもやや増加傾向です。今後20年間はいわゆる団塊の世代が高齢期にかかるためにさらに増加し現在の250万人から400万人になるといわれています。認知症の予防として最近の話題としてはいわゆる生活習慣病との関連で糖尿病については発症のリスクが2倍になります。血糖値については特に食後の高血糖が問題になっています。アルツハイマー病と糖尿病の関連についてはインスリン抵抗性が関係しているようで糖尿病治療薬であるインスリン抵抗性改善薬で認知症の進行を遅らせることができる可能性もあります。高血圧も中年期からの管理が大切であることがわかっています。なお、認知症関連遺伝子も多数発見されておりアポタンパクE4遺伝子等が有名です。アルツハイマー病では脳の神経細胞脱落とともに老人斑あるいは神経原線維の変化を特に側頭葉内側部の海馬領域に著明な萎縮を認める状態です。診断としては頭部MRIで海馬の委縮を認めること、あるいは脳血流検査(SPECT)で頭頂側頭部の血流低下を認めることです。保険適応がないものとしては髄液検査、PET検査等も最近では研究されています。アルツハイマー病で最も早期に出現して中核となる症状が近似記憶の障害です。これは日常生活で約束を忘れたり、財布などの置き場がわからなくなったり、同じ内容を繰り返して話すなどです。また、アパシーといわれる自発性低下、無関心等の症状も出現し、妄想も比較的多い症状で内容としては物盗られ妄想が多くなっています。最近有名になってきたレビー小体型認知症は進行性の認知症に加えて時間あるいは週単位で変動する認知障害、具体的な反復する妄想(床に水が流れているように見える、トイレに3人の人がいるけど話しかけても返事をしない、自宅が自宅ではない、、、、など)、パーキンソン症状が特徴です。その他うつ状態を認めることが多く、REM睡眠関連行動障害といい寝言、寝ているときの体動が多くなり症状があります。また人格障害が前面に出る前頭側頭葉変性症があります。これは記憶障害は強くありませんが初期から社会性の障害が出現(葬式の途中で笑い出す、行列に横入りする、道での放尿、万引き、交通ルールの無視など)があります。その他常同行動といい同じ行動を繰り返すことがあります。(家庭では毎日同じものを食べ続ける、毎日同じ時間に同じ道を歩くなど)その他いわゆる治る認知症としては特発性正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫があります。両者とも頭部MRI検査等で鑑別可能であり、手術等で治癒します。昨年来、アルツハイマー病の治療薬が増えて現在は4種類の薬があります。現在の治療薬では完治しないものの病状を修飾することができ病気の進行を遅延されることができます。病状あるいはその他の症状に応じて投薬されます。最近問題となっていることとしては以前にも紹介しましたがBPSDといい従来は周辺症状といわれていた精神症状(幻覚、妄想、興奮など)に対する対処ですがデイサービス等を利用するレクリエーション療法、音楽療法、回想法、、から始めて必要に応じて薬物を利用することになります。抑肝散等の漢方薬の使用からいわゆる精神病薬を使用するパターンなど病状に応じた対応が必要になります。認知症の終末期医療と胃瘻については今年1月に日本老年医学会から必ずしも胃瘻等の経管栄養をすることはないとの見解が出されました。アメリカでは胃瘻は一切行わないことになっています。この点については今後患者さんのリビングウイル、事前指示書等の整備も含めた検討が大切になると思います。今後認知症については治癒する薬の開発を含めた研究の発展が期待されています。

山田医院 医師 山田良宏

“予防&改善の栄養学” 胃腸虚弱

【機能と原因】
消化器官の中心である胃と腸は、食べた物を消化してエネルギーを吸収する部位で、生命を保ち健康を維持するうえで重要です。食物は口で咀嚼されると、胃で胃液によって溶かされ、小腸に送り出されて分解が行われます。小腸で分解され、栄養素が吸収されると、残ったカスは大腸に送られます。そこから、水分やミネラルが吸収されて、残りが便となって肛門から排泄されます。この一連の消化活動は自律神経系や各臓器間のネットワークによってスムーズにとり行われます。 このネットワークに不調をきたし胃腸の働きが悪くなると、食欲不振、げっぷ、胸やけ、腹部膨満感、腹痛、下痢、便秘などの胃腸症状が現れます。 その原因は、おもに精神的なストレスや不規則な生活で自律神経のバランスが崩れたり、暴飲暴食や早食いで消化器が疲労していることなどが考えられます。

【改善・予防しよう!】
胃腸の不調を治すには不規則な生活を正す、ストレスの原因を排除し、気分転換をするなどして、自律神経のバランスを整えることが重要です。 食事の面では、咀嚼と腹八分目を守ります。胃腸虚弱による消化不良などの原因は、よく噛むことで改善されるといわれています。咀嚼で消化酵素液を含んだ唾液が分泌され初歩的な消化が進み、脳が刺激されて、胃液の分泌が始まると、胃の受け入れ態勢が整います。また、咀嚼は脳の視床下部にある満腹中枢を刺激するので、自然と食べ過ぎを防ぐことができます。ちなみに、満腹中枢は食事を始めてから20~30分後に動き出しますので、ゆっくりと食べましょう。

***消化・吸収をよくする食事法***

★1口30回の咀嚼を目標に!
①満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐ ヒスタミンが脳内で分泌され、満腹中枢を刺激する。満腹感を得られるとともに脂肪組織の分解を促す

②十分な胃液を分泌させる 咀嚼の刺激が脳から胃に伝えられ、咀嚼運動に見合った胃液が分泌され、消化・吸収率が高まる

③噛む行為で唾液が分泌される炭水化物を糖に分解する唾液が分泌され、胃の負担を軽減する。唾液は殺菌、添加物の毒消し効果も期待できる。生活リズムの改善やストレス解消が難しい時は、できる時は『ゆっくり食事をする』、『よく噛む』を心がけることから始めてみましょう。

管理栄養士 越後和恵

夏の冷え性について

猛暑が続く中、不快な冷たさを感じる「夏の冷え」に苦しんでいる方が増えています。冷え性の症状は・・・疲れやすくなる、食欲がなくなる、あまり汗をかかない、眩暈・立ちくらみ、肩こり、頭痛、集中力の欠如など・・・さまざまです。今まで冷え性は、女性特有の悩み・症状であると捉えがちでした。それは何故だか解りますか?女性は男性に比べ、筋肉が少なく皮下脂肪が多いため外からの熱を通しにくいことや、ホルモンバランスが崩れやすいことなどが、その原因とされてきました。しかし最近は、子供や20~30代から中高年男性に至るまで、年齢や性別、そして季節に関係なく冷え性で悩まされているんです。

原因は大きく分けて、

1.冷房のかけすぎ。

2.食べ物・飲み物で身体を冷やす。

3.自律神経の乱れの3つです。

近年はクールビズが推奨され、少しは緩和されてきましたが、夏場は戸外と室内の温度差が激しく体温調節機能が乱れたり、ストレスや運動不足・暑い夜の睡眠不足などを原因として自律神経のバランスが崩れ、更に高温多湿な夏は、胃腸機能も低下しがちであり、食事も栄養の偏った簡単なものですましたり、冷たい食べ物や飲み物のとりすぎへとついなりがちに・・・結果、色々な原因が累積し、冷え性体質を引き起こしてしまうのです。そうならないために!!1.身体を冷やさない。特に、首・肩・足元を冷やさないように掛け物を使用し、お風呂は、ぬるめのお湯に20分程ゆっくり浸かりましょう。足湯もお勧めです。2.身体を冷やさないものを摂取しましょう。冷え性に良い食成分には、ビタミンE(血流をよくする)、ビタミンB群(糖質・脂質をエネルギーにかえて身体を温める)、ビタミンC(毛細血管に働きかけ血管を広げる)であり、唐辛子・にんにく・生姜・ネギなどに含まれる辛味成分も身体を温めるので、薬味などに上手に取り入れましょう。3.適度な運動などで気分転換を図りましょう。色々お話してきましたが、実は冷え性の定義やその発生原因は、まだきちんと特定されていません。が、自律神経の乱れ・ホルモンバランスの崩れにより、血液やリンパの流れが悪くなって生じる症状であることは確かです。冷え性にならないため、また、冷え性で悩まされている方は今以上悪化しないようにすることが大切です。今までの生活をガラッと換えるのは大変ですが、少しずつ体質改善に取り組んでいけるようにしましょう。

山田医院 看護師 川上啓

外科と整形外科の違いについて

私事ですが…最近、お引っ越しをしました。北向ですが、ベランダが以前の住居より少し広いので…苗から育てるハーブやミニトマトを植えてみました。中でも育て易いパセリ、ミントとローズマリー、良い香りを運んでくれるラベンダーを選びました。ミントは丈夫だからドンドン増えてきています。梅雨が明けて日差しが眩しくなった頃、ふっくらと可愛いミニトマトを収穫するのが楽しみです。それまでアブラムシに気を付けておこうと思っています。さて本題です。 怪我をした時、外科か整形外科のどちらに受診したら良いのか?判らないとの問い合わせが時々あります。そこで外科の分野について調べてみました。一般的には脳神経外科、心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、小児外科などに分かれています。面白い事に整形外科も外科という意味では同じ分野なのです。捻挫・打撲・骨折・関節痛などの骨の異常を扱う整形外科に対し、外科は一般的に手術や処置をする所です。怪我をした所を麻酔をして縫ったりします。又、魚の目や水疣を取ったり、幼児などが間違って誤飲した場合、相談にのって貰えます。簡単に言うと、傷があったら外科、骨がおかしかったら整形外科に行ったら良いかと思われますが、一概にそうとも言えない事もあるので、受付か電話で相談して下さいネ(^-^)

当院では、一度診察後整形外科の受診が必要な場合、紹介もして貰えますので安心して下さい。これから梅雨を経て暑い夏へと向かいます。疲れをため込まないようにしっかり眠って、栄養バランスの良い食事をとり、楽しく夏を過ごしましょう。

医療事務員 堂東眞弓

深呼吸について

梅雨の時期になりましたね。梅雨の季節、いやな事ばかりでもなく、今だけの蛍。今月いっぱい、観賞会を、開いているところもあるようです。私も、堺の菅原神社で、ホタルに触れてきました。あのヒカリに、ひととき癒されました。しかし、雨の日が続くと、外出も控えたくなり、家の中で、ストレスをためてしまうときがあります。私は、リフレッシュに、晴れ間には、植物園を散歩します。今は、あじさい、スイレンが、満開でした。ハーブ園も、甘い香りに、安らぎます。森林浴の中、大きく深呼吸をすると、本当に、気持がいいです。深呼吸をすると、脳波はα波の周期数が減り、振れ幅は大きくなり感情が抑えられ、落ち着いた精神状態、リラックスできます。。副交感神経が緊張して、交感神経の緊張が押さえられ、血圧が低くなり、皮膚の小さな血管が拡がって皮膚温度が上昇します。また、胃腸の運動が活発になり、唾液や胃液、インスリンの分泌が盛んになり、血糖値の低下も確認されています。 深呼吸法によって、腹筋や横隔膜の収縮運動により内臓へのマッサージ効果、また内蔵の血液循環も良くなります。深呼吸によって内臓への腹圧がかかり、腹部大動脈が圧迫されます。心臓への血液の戻りが良くなり、心臓循環器系が活性化されるため、足のむくむ人などにもお勧めです。意欲が増して、集中力がたかまり、効率が上がります。 腹式呼吸による深呼吸はリラックス神経といわれる副交感神経を活発にさせ血管の収縮が解け、血行が良くなります。10分ほど継続するとリラックスホルモンといわれるセロトニンが増えるという効果もあるそうです。
腹式呼吸って?
横隔膜が下がることによって肺が膨らみ酸素を取り込むという呼吸。横隔膜の働きが主となる呼吸法

腹式呼吸の方法
腹を膨らませつつ鼻から息を吸い、お腹をへこませて口から息を吐く。

速度
1回あたり10~9秒、1分に6~7回行う。 ゆっくりと、2~3秒で吸い、6~7秒で吐く。

コツ
下腹に溜まった古い空気を細くゆっくり、吐いて吐いて吐ききるようにする。吐き切ったら脱力する。 吐ききれば、吸う方は自然体でもたっぷりと空気を取り込める。 注意することもあります。深呼吸をしすぎないこと。深呼吸をしすぎると苦しくなり、頭がボ~として意識を失うこともあります。息を大きく吸うあまり、上体を後ろに反り返ってしまうと腰を痛めてしまう原因にもなります。くれぐれも、無理なく、日々に取り入れてみてください。

山田医院 事務 中西美鶴

子供の病気についてのコーナー

ポリオワクチンについて
昭和35年のポリオ大流行後に生ポリオワクチンを緊急に導入、その後流行はおさまり昭和55年以降現在まで野生ポリオの発生はなくなりました。それに伴い経口ポリオ生ワクチン接種者によるワクチン関連麻痺が問題となりました。この割合は500万人に1人あたりの割合ですが最近では200万人に1例の割合とも言われています。この問題から経口生ワクチンから注射による不活化ワクチンの接種への移行が世界の先進国ではすうせいとなっていることもあり数年来ポリオワクチンについては生ワクチンを廃止して不活化ワクチンへの移行を求める声が大きくなっていました。このたびは日本においても9月から定期接種として不活化ポリオワクチンの導入が決まりました。(数年前から自費扱いで自己輸入をした不活化ポリオワクチンを接種する一部の医療機関もあり当院受診中の方でも多くの方がこの方法で接種をしています。)逆に9月からは経口生ポリオワクチンがなくなります。生ポリオワクチンの接種は保健センター等で年に2回行われており計2回の服用で終了となっていましたが不活化ポリオワクチンについては注射で計4回の接種が必要になります。(接種はDPTなどと同様に医療機関での接種になります。)現在自費で行われている不活化ポリオワクチンは海外での接種と同様に大腿部への筋肉接種となっていますが日本においての不活化ポリオワクチン接種は上肢への皮下接種になっています。接種回数は今まで生ポリオワクチンを2回接種した人は必要ありませんが全く接種していない人については4回、生ポリオを1回接種した人については不活化ポリオを3回の接種となります。接種の方法はDPTと同様で初回の3回接種は3週間以上の間隔で3回、追加接種は初回接種の3回目接種後1年から1年半してからの接種となります。海外であるいは既に自費で不活化ワクチンを接種している人についても計4回の接種となるように追加する事ができます。なお、平成24年11月以降には現在のDPTワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)ワクチンにポリオワクチンが加わった4種混合ワクチンが開始される予定ですが、単独でポリオ不活化ワクチンを接種したことがある人については当分の間は4種混合ワクチンは接種できない事になっています。ワクチン不足等の混乱がないように手配をすると厚生労働省ではアナウンスしています。また疑問点がある人は
主治医に聞いてみましょう。

山田医院 医師 山田良宏